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韓国、対米協力深化させつつ中国と供給網安定化取り組む=通商交渉本部長

2025年10月29日(水)13時22分

 韓国で31日から2日間にわたってアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されるのを前に、同国産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は米国との協力を深めつつ、中国との間でもサプライチェーン(供給網)の安定化を図る努力をしていく方針を示した。写真はトランプ米大統領と韓国の李在明大統領。8月25日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)

Jihoon Lee

[慶州(韓国) 29日 ロイター] - 韓国で31日から2日間にわたってアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されるのを前に、同国産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は米国との協力を深めつつ、中国との間でもサプライチェーン(供給網)の安定化を図る努力をしていく方針を示した。

対米協力の強化について呂氏は、半導体や電池、バイオテクノロジー、造船、原子力などさまざまな分野を挙げた。

中国向けには、複数のレベルでの対話を通じてサプライチェーンの安定化のための協力を働きかけていくとしている。

さらに呂氏は、タイとデジタル化やサプライチェーンの強じん化、気候変動などで力を合わせるほか、バングラデシュ、パキスタンなどと貿易協定の話し合いを開始すると明らかにした。

呂氏は、トランプ米大統領が韓国入りする29日の時点で韓国と米国の貿易交渉がまとまるかどうかは依然分からないと述べた。一方、ロイターの質問に対する書面回答では「最も大事なのは合意のタイミングではなく、韓国の国営に最大限資する形で双方が恩恵を受ける取引を実現させることだ」と強調した。

韓国はトランプ政権から貿易不均衡是正を迫られ、高い関税を回避するため多額の対米投資を約束している。

専門家からは、韓国は経済規模が中国よりもずっと規模が小さく、安全保障面で米国に大きく依存しているので、中国のような交渉の武器を持っていない以上、与えられた条件内で最善を尽くすしかないとの指摘が聞かれた。

他方で韓国は、中国による輸出管理対象になっている。一部の韓国の造船企業は最近、米国に協力しているとの理由で中国から制裁を発動されるなど米中対立の狭間で苦境に置かれている。

呂氏は「米中の緊張の高まりが不確実性を増大させ、今週のAPECでどのような結果が出てくるか世界中の企業の関心を集めているのは確かだ。ある意味そうした環境は、APECのような多国間の枠組みにおける対話と協力の重要性とタイミングの適切さをより高めている」と指摘した。

ロイター
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