ニュース速報
ワールド

中国の韓国造船業への「制裁」、米韓造船協力に影響と韓国当局者

2025年10月17日(金)17時37分

米国務省報道官は10月17日、韓国の造船会社ハンファ・オーシャンの米国関連子会社に中国が講じた制裁措置について、韓米協力を損ない、韓国を「威圧する」ことを目的にしているとの見解を示した。15日、ソウルで撮影(2025年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[ソウル 17日 ロイター] - 米国務省報道官は17日、韓国の造船会社ハンファ・オーシャンの米国関連子会社に中国が講じた制裁措置について、韓米協力を損ない、韓国を「威圧する」ことを目的にしているとの見解を示した。韓国政府高官は、米国との造船分野の協力に悪影響を出る恐れがあると指摘した。

中国は、米政府が中国船舶に米港湾への入港手数料を上乗せしたのに対抗して、米国船舶に同様な措置を取った。さらに中国商務省は14日、ハンファ・オーシャンの米国関連子会社5社について、中国企業・個人との取引を禁止すると発表した。

国務省報道官はロイター宛ての声明で「中国がハンファを標的にしたのは、民間企業の業務を妨害し、米国の造船・製造業活性化に向けた米韓協力を台無しにしようとする無責任な試みだ」と指摘。「韓国を威圧しようとする中国長年のやり方の最新事例だ」と述べた。

韓国は、米国との通商協議で、米国の造船業立て直しを支援する計画「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again=米国の造船業を再び偉大に)」で合意した。

中国は、ハンファが昨年買収した米フィラデルフィアの造船所を制裁対象とした。

韓国国防省傘下の調達関係当局高官は17日、国会で、「フィラデルフィア造船所の資材や物資を全て米国内で手当てすることは思えない」と述べた。

ハンファは、中国山東省に船舶部品のモジュールを製造する造船所を持つ。中国で製造したモジュールを韓国に送り最終組み立てに回している。

同高官は、中国からの機器や資材の調達に支障が出て、韓米の造船協力計画に悪影響が出ると指摘した。

Yu Yong-weon議員は、中国の制裁によりフィラデルフィア造船所では今後2年間で6000万ドルの損失が出るとの試算を示した。損失の内訳は示さなかったが、造船所への供給途絶や船舶の納入遅延の可能性を指摘し、「これは単なる貿易問題ではなく、わが国の経済安全保障と産業の優位性に影響を及ぼす重大な問題だ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有

ビジネス

FOMCが焦点、0.25%利下げ見込みも反対票に注

ワールド

ゼレンスキー氏、米特使らと電話会談 「誠実に協力し

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中