ニュース速報
ワールド

なぜ戦争避けられなかったか「歴史に学び教訓を」 石破首相戦後80年所感

2025年10月10日(金)17時54分

 10月10日、石破茂首相は、「戦後80年に寄せて」と題する総理大臣所感を発表した。都内で5月21日撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

[東京 10日 ロイター] - 石破茂首相は10日、「戦後80年に寄せて」と題する総理大臣所感を発表した。過去の談話ではなぜ戦争を回避できなかったのかという点にあまり触れてこなかったとし、当時の政党内の権力争いや議会の軍統制機能の欠如など国内の政治システムに問題があったと指摘した。民主主義はときに「過ちを犯すもの」であり、歴史に学び「教訓を胸に刻まなければならない」との認識を示した。

石破首相は、これまで戦後50年、60年、70年の節目に際して歴代の内閣が出した談話の歴史認識に関する立場は引き継いでいるとする一方、「過去三度の談話においては、なぜあの戦争を避けることができなかったのかという点にはあまり触れられていない」と指摘した。

70年談話も言及している「戦争の歯止めたりえなかった」国内の政治システムについて、大日本帝国憲法の制度上、文民統制の原則が欠如していたこと、権力争いのため政党が国民の信頼を失い軍部に利用される結果になったこと、議会が軍に対する統制機能を失っていたことなどを問題点として挙げた。戦争が長引くにつれ戦争を積極的に支持する論調だけを伝えたメディアの姿勢や、国際・軍事情勢を正しく分析し適切に共有する情報収集・分析能力があったのかという問題も指摘した。

その上で、民主主義は「コストと時間を必要とし、ときに過ちを犯すもの」であるからこそ「常に歴史の前に謙虚であるべき」であり、「教訓を深く胸に刻まなければならない」といの認識を示した。

また、現在の安全保障環境の下では自衛と抑止のために「実力組織を保持することは極めて重要」としつつ、文民統制や適切な政軍関係の必要性を「政府、議会、実力組織、メディア全てが常に認識しなければならない」との考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中