中国、将来の攻撃に備え能力強化 新装備開発=台湾国防報告書
台湾国防部(国防省)は9日公表した2年に1度の国防報告書で、中国が台湾周辺で軍事活動の頻度を高め、奇襲攻撃能力を高めるための新たな装備を開発していると指摘した。写真は台湾周辺で活動する中国軍の艦船を映したスクリーン。北京で4月に撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)
Yimou Lee Ben Blanchard
[台北 9日 ロイター] - 台湾国防部(国防省)は9日公表した2年に1度の「国防報告書」で、中国が台湾周辺で軍事活動の頻度を高め、奇襲攻撃能力を高めるための新たな装備を開発していると指摘した。
人工知能(AI)ツールを使って台湾のサイバーセキュリティーを弱め、重要インフラの弱点を探っているとした。
また、中国が台湾当局に対する市民の信頼や防衛支出への支持を弱めるために「ハイブリッド戦」を活用し、海警局の哨戒活動など武力を用いない「グレーゾーン」の嫌がらせを強化していると指摘。「通常・非通常の軍事行動の両方を通じ、台湾を攻撃し外国軍に対抗する能力を試そうとしている」と述べた。
「中国共産党は日常的なグレーゾーンの嫌がらせ戦術を採用し、共同戦闘準備パトロール、標的を絞った軍事演習、認知戦と組み合わせ、われわれに包括的な脅威を与えている」と記した。
その上で、中国は台湾やその支援国の不意を突くために演習を突如として戦闘モードに切り替えようとする可能性があり、地域の平和と安全に重大な脅威になると警告。海警局は台湾周辺での活動を拡大しており、将来的には攻撃シナリオのリハーサルを行いながら、軍と連携して「積極的な封じ込め措置」を取る可能性があると述べている。
中国が近年、軍事輸送活動に民間の「ロールオン・ロールオフ(RORO)船」を広く活用しているほか、海岸上陸作戦用の特殊装備の開発を続けているとも指摘した。
中国国防省はコメント要請に応じていない。
報告書によれば、中国は「プロのサイバー軍団」を使ってソーシャルメディアのアカウントを操作し、台湾社会に分裂の種をまき、政府への信頼を弱めるために誤った情報を氾濫させている。
中国の国営メディアや協力者もまた、台湾の戦意を弱めるために働いているほか、中国はディープフェイク技術を使って動画を作成し、AIを活用して「世論を二分する政治的レトリックを生み出している」という。





