ポーランド労働市場、ウクライナ難民が支える状況続く=フィッチ

8月19日、格付け会社フィッチ・レーティングスは、ウクライナとロシアが停戦合意に達したとしても、ポーランドに居住するウクライナ難民の大半は同国にとどまる可能性が高く、財政が重要な懸念事項となっているポーランド経済を支え続けるとの見方を示した。写真はウクライナからの避難民。2022年3月、ポーランドのメディカで撮影(2025年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
Karol Badohal Gergely Szakacs
[ワルシャワ 19日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスは、ウクライナとロシアが停戦合意に達したとしても、ポーランドに居住するウクライナ難民の大半は同国にとどまる可能性が高く、財政が重要な懸念事項となっているポーランド経済を支え続けるとの見方を示した。
ウクライナの西側の隣国ポーランドは、2022年2月のロシアによる侵攻後に逃れてきた約100万人のウクライナ難民を今も受け入れている。監視機関によると、彼らはポーランドの逼迫した労働市場を活性化させ、経済成長を後押ししており、フィッチはこの傾向が今後も続くとみている。
フィッチのポーランド担当アナリスト、ミラン・トライコビッチ氏は「彼らはポーランドの労働市場に非常にうまく溶け込んでおり、この状況が大きく変わるとは考えていない。たとえ、あす停戦が成立したとしても、帰国するウクライナ難民はそれほど多くないだろう」と指摘。
「大部分がポーランドにとどまり、同国の労働市場や経済成長、その他のマクロ経済・財政に関する変数に貢献するとほぼ確信している」と述べた。
フィッチはポーランドの経済成長率が今年3%、来年3%、27年に3.1%になると予測している。ポーランド政府の予測はそれぞれ3.4%、3.5%、3.0%。
ポーランドの財政赤字は昨年、対国内総生産(GDP)比6.6%となり、政府が財政再建計画で掲げた目標の5.7%を下回った。
トライコビッチ氏は「格付けの観点からの最大のリスクは、公的債務の安定化につながる財政再建計画が実行されないことだ」と述べた。財政赤字は今年6.6%前後で横ばいになると予測。28年までにはGDPの4%前後、おそらく4.5%まで低下するとの見方を示した。