香港のステーブルコイン規則、実名登録に懸念 「普及に逆風」

香港で1日、法定通貨などに連動して価値を安定させる暗号資産(仮想通貨)「ステーブルコイン」に関する規則が施行された。写真は香港金融管理局。2015年11月撮影(2025年 ロイター/Bobby Yip/File Photo)
Summer Zhen Jiaxing Li
[香港 7日 ロイター] - 香港で1日、法定通貨などに連動して価値を安定させる暗号資産(仮想通貨)「ステーブルコイン」に関する規則が施行されたが、厳格な顧客識別ルールが義務付けられていることから、ステーブルコインの普及と世界のデジタル金融市場における香港の競争力を阻害する可能性があると業界関係者は懸念している。
香港は世界で最初にステーブルコイン発行に関する規則を持つ市場の一つとなり、暗号資産のハブを目指す香港は先行者利益を受けられる可能性がある。
ただ実名登録(KYC)ルールにより発行者に全てのステーブルコイン保有者の身元確認が義務付けられたため、機密とプライバシーの原則に反するとの声も上がっている。
中央銀行に相当する香港金融管理局は、こうした措置はマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策に不可欠と主張する。
市場関係者は、監視の厳しさは利用を抑制しかねないと警告。HKUST金融研究院のボー・タン氏は「少し厳しすぎ、ユーザー獲得にマイナスだ」と話す。ステーブルコインの取引がほぼ完全に実名制になれば、効率性やプライバシーといった従来の決済に対する利点のほとんどを失うことになるとの見方を示した。