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ガザ支援で国連が主導的役割、イスラエル当局者が見解と国連高官

2025年07月14日(月)13時27分

世界食糧計画(WFP)のカール・スカウ副事務局長は11日、イスラエル当局者が国連にガザ地区の人道支援の主要な手段としてとどまることを望んでいるようだと述べた。資料写真、ガザ南部で5月撮影(2025年 ロイター/Hatem Khaled)

Michelle Nichols

[国連 11日 ロイター] - 世界食糧計画(WFP)のカール・スカウ副事務局長は11日、イスラエル当局者が国連にガザ地区の人道支援の主要な手段としてとどまることを望んでいるようだと述べた。議論を呼んでいる米支援団体の活動について議論はされなかったという。

前週ガザとイスラエルを訪問したスカウ氏は、報道陣に「イスラエル当局者はとりわけ停戦が実現した場合、国連が引き続き支援物資の配送のための主要な支援手段となることを望んでおり、われわれに支援体制の拡充にとりかかるよう求めた」と語った。

イスラエルと米国は、両国が支援する「ガザ人道財団(GHF)」を通じて援助に取り組むよう国連に要請している。だが国連はGHFの中立性に疑問を抱き、その支援分配の仕組みが軍事支援や住民の強制移動につながると指摘している。イスラム組織ハマスは9日、支援物資の流れが交渉行き詰まりの一因だと述べた。

スカウ氏は、さまざまなレベルのイスラエル当局者と面会したが、GHFについて「一連の面会で話題に上らなかった」と述べた。「国連が排除されるという噂もあったが、私が関わった限り、イスラエル当局者は国連が引き続き主要な支援手段であることを望んでいるのは極めて明白だった」という。

<支援求める人が犠牲に>

イスラエルは5月19日、それまで11週間続いたガザに対する支援封鎖を解除した後、国連の限定的な支援再開を認めた。GHFは1週間後、活動を開始し、米国の民間警備企業と物流企業を利用して支援物資を配布拠点へ輸送し始めた。

国連人権高等弁務官事務所は11日、GHFの拠点付近で615人の死亡を確認し、国連や他の救援団体が運営する「恐らく支援物資の輸送ルート上でも」183人が死亡したと推定されると発表した。

GHFは支援拠点で死亡者は全くいないと繰り返し主張している。GHFは11日、ガザでこれまでに7000万食以上を提供したと発表した。米国務省はGHFに資金提供しており、GHFは自らの支援モデルを「戦争地域の支援輸送の改革」と位置付けている。

一方、国連は自らの支援分配の仕組みが機能しており、とりわけイスラエルが3月半ばに破棄した2カ月間の停戦期間中に実証済みだと主張している。支援トラックが停戦期間中に1日当たり600―700台ガザに入ったとし、人々が支援物資の流れが安定していると分かれば略奪行為は減少すると強調している。

ロイター
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