ガザでの急性栄養失調の幼児、一時停戦時の3倍の5.8%に

6月5日、パレスチナ自治区ガザの5歳未満の子ども5万人弱のうち約5.8%が急性栄養失調だと5月後半に診断され、イスラエルとイスラム組織ハマスが一時停戦していた2月の3倍弱に達したと、国連が発表した報告書で分かった。写真は空の鍋を持って座る子どもたち。ガザ市内にあるチャリティーキッチン付近で3日撮影(2025年 ロイター/Ebrahim Hajjaj)
[ジュネーブ 5日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザの5歳未満の子ども5万人弱のうち約5.8%が急性栄養失調だと5月後半に診断され、イスラエルとイスラム組織ハマスが一時停戦していた2月の3倍弱に達したと、国連が5日発表した報告書で分かった。5月前半の4.7%から増加し、重症患者が増加しているとも指摘した。
ガザでは、イスラエル軍の攻撃を受けて停止していた米拠点の財団による食糧配給が再開されるなどの動きが出ている。一方でイスラエル軍が食糧配給所付近を銃撃し、援助活動に支障を来す死傷事件が相次いでいる。
一時停戦が3月に終了後、イスラエルは11週間にわたってガザへの援助物資の供給を封鎖し、監視団は飢饉に陥る恐れがあると警告を促した。イスラエルはその後もガザへの援助物資の運搬を一部しか認めず、全てを審査している。イスラエルはハマスが一部の援助物資を横取りしていると非難し、ハマスはこれを否定している。
報告書によると、ガザの北部と南部ラファにある急性栄養失調の重症患者の治療に当たる医療施設は閉鎖に追い込まれ、患者は救命治療を受けられないままになっている。閉鎖の理由は明らかにしていないが、多くの医療施設は物資が不足し、戦闘の被害を受けたり、ハマスが軍事目的で利用していると非難するイスラエルの攻撃を受けたりしている。ハマスは軍事目的での利用を否定している。
ガザでは5月のわずか数日間で子どもと高齢者の計29人が餓死したとの報告がある。
国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」は5日、食糧配給を受けようとしたパレスチナ人の大勢が銃撃され、医師らが救命のために献血に応じていると説明した。