メルツ独首相初訪米、トランプ氏と貿易問題など協議 友好的な関係構築

6月5日、トランプ米大統領(写真右)は、ワシントンを訪問したドイツのメルツ首相(左)とホワイトハウスで会談し、ウクライナ問題や貿易問題について協議した。ホワイトハウスで同日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
By Andreas Rinke
[ワシントン 5日 ロイター] - トランプ米大統領は5日、ワシントンを訪問したドイツのメルツ首相とホワイトハウスの大統領執務室で会談し、ウクライナ問題や貿易問題について協議した。
トランプ大統領はメルツ氏をドイツの良き代表であり、同時に「扱いにくい」人物と評価。これは褒め言葉だと示唆した。また、米軍は引き続きドイツに駐留するとし、ドイツが国防費を増額していることを歓迎すると述べた。
大統領執務室は、ウクライナのゼレンスキー大統領や南アフリカのラマポーザ大統領ら訪米した外国首脳とトランプ氏の口論の場となってきた。
メルツ氏はそのような事態を避けたい意向で、トランプ大統領が反対したロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」プロジェクトは間違いだったと述べ、米国との関係を深化させる用意があると強調。ホワイトハウスを訪問できたことをうれしく思うと語った。会談は温かい雰囲気の中で行われた。
メルツ氏はトランプ氏がドイツ訪問の招待を受け入れ、今後日程を調整する予定だと語った。
先月就任したメルツ氏にとり、今回の訪米は就任以来初めて。米国と欧州連合(EU)との間でも貿易を巡る緊張が高まる中、トランプ氏は「うまくいけば最終的に(EUと)貿易協定が締結されるだろう」とし、「関税措置でも構わないし、貿易協定でも構わない」と述べた。
メルツ氏は記者団に対し、トランプ氏と生産的な会談を行い、貿易問題などで協力を強化することで合意したと語った。
貿易や関税について詳細に話し合ったとし、ドイツの自動車メーカーが米国で運営している製造施設について強調したことを明らかにした。
メルツ氏はまた、CNNとFOXニュースのインタビューで、米国の関税がドイツの自動車メーカーに大きな影響を与えていると語った。
FOXニュースに対し、「これらの関税はわが国の経済を真に脅かすものであり、われわれは引き下げる方法を模索している。自由貿易と開かれた市場こそが、両国の相互の繁栄にとって最善であると確信している」と述べた。
また、ドイツのZDFテレビに対し、ドイツの自動車メーカーは国内とほぼ同数の約40万台を米国で生産しており、その一部はドイツに輸出されているとトランプ氏に伝えたとし、「バランスは取れている」と述べ、「輸入される車1台ごとに、同じメーカーから別の車が輸出されていることを認め、関税を撤廃することはできないだろうか」と指摘した。
この問題について欧州委員会のフォンデアライエン委員長とも話し合う予定だと述べ、解決に至る余地と潜在的な勢いがあるとの見方を示した。