ロシア・ウクライナが互いに無人機攻撃、和平協議控え戦闘激化

ウクライナとロシアはトルコのイスタンブールで6月2日に予定される直接協議を控え、大規模なドローン(無人機)攻撃などで戦闘を急速に激化させた。写真は1日、ロシア・ブリャンスク州の道路崩落現場を調べる当局者(2025年 ロイター)
[モスクワ/キーウ 1日 ロイター] - ウクライナとロシアはトルコのイスタンブールで2日に予定される直接協議を控え、大規模なドローン(無人機)攻撃などで戦闘を急速に激化させた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ロシアが提案した2日のイスタンブールでの協議にウクライナ代表団が出席すると述べた。代表団はウメロフ国防相が率いるという。
こうした中、ウクライナ国境に近いロシア西部ブリャンスク州では5月31日深夜、道路橋が線路に崩落し、接近していた列車が脱線。7人が死亡、69人が負傷した。
また、ウクライナは1日、ロシア・シベリアの軍事基地を攻撃し、核兵器を搭載可能な長距離爆撃機に損害を与えた。ウクライナ情報当局者が明らかにした。前線から4300キロ以上離れた地域にこうした攻撃が行われるのは初めて。爆発物を積んだ無人機を木造の小屋の屋根裏に隠し、トラックに積み込んで空軍基地近くまで運んだという。ロシア軍機41機に損害を与えたとしている。
米ニュースサイト「アクシオス」の記者がウクライナ当局者の話としてXに投稿した情報によると、ウクライナは攻撃についてトランプ米政権に事前に知らせなかった。
ロシア国防省はテレグラムへの投稿で、5州にある軍用飛行場がウクライナの無人機攻撃を受けたことを認めた。北部ムルマンスクとシベリアのイルクーツクの2州では数機の航空機が炎上したが、他の地域では攻撃を撃退したと説明した。火災は人的被害なく鎮火し、攻撃に関与したとみられる数人を拘束したという。
一方、ウクライナ空軍によると、ロシアは夜間にウクライナに向けて472機の無人機を発射した。夜間に発射された無人機としては戦争開始以来最多となった。ロシアはミサイル7発も発射した。
ロイターが確認した文書の写しによると、ウクライナの交渉担当者はイスタンブールでの協議で、永続的な和平合意に向けたロードマップ案をロシア側に提示する方針だ。
文書には、和平合意成立後にウクライナの軍事力に制限を設けないことや、ロシア軍が占領したウクライナ領に対するロシアの主権が国際的に承認されないこと、ウクライナに対する賠償が行われること、現在の前線の位置が領土交渉の出発点となることなどが記されている。