ニュース速報
ワールド

NATOの東方拡大、ロシアの懸念は妥当=米特使

2025年05月30日(金)15時56分

 トランプ米政権のケロッグ特使(ウクライナ担当、写真)は29日、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に対するロシアの懸念は妥当との認識を示し、米国はウクライナがNATOに加盟することを望んでいないと明言した。ポーランド・ワルシャワで2月撮影(2025年 ロイター/Kacper Pempel)

[モスクワ 30日 ロイター] - トランプ米政権のケロッグ特使(ウクライナ担当)は29日、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に対するロシアの懸念は妥当との認識を示し、米国はウクライナがNATOに加盟することを望んでいないと明言した。

NATOがウクライナや他の旧ソ連諸国へ拡大しないようロシアが文書での保証を求めているとのロイターの報道に関し、「それはもっともな懸念だ」と米ABCニュースに語った。

「ウクライナのNATO加盟はわれわれの検討対象ではないと表明してきた。NATO内には同様の考えを持つ国が恐らくほかに4カ国はある。加盟には全32カ国の承認が必要だ」と述べた。「これはロシアが問題視する点の一つだ」と語った。

また、ロシアが懸念しているのはウクライナだけではなく、ジョージアやモルドバも同様だと指摘した。NATO拡大に関する米国の最終的な方針はトランプ大統領が決定すると説明した。

ケロッグ氏はウクライナとロシアの和平交渉の進め方について、6月2日にトルコのイスタンブールで行われる協議で、両国がそれぞれ起草した2つの覚書を1つの文書に統合する作業が含まれるとの見通しを示した。

「来週イスタンブールで協議の席に着く」と述べ、ドイツ、フランス、英国の国家安全保障担当補佐官らが、米国と共にこの覚書に関する協議に参加すると明らかにした。

ケロッグ氏によると、トランプ氏はロシアのプーチン大統領の「理不尽さ」を目の当たりにし、ロシアに対して「いら立ち」を感じているという。

同氏はウクライナ戦争における死傷者は、控えめに見積もっても双方合わせて120万人に達すると指摘し、「これは衝撃的な数字だ。まさに産業規模の戦争だ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼・アルミ関税50%に引き上げ表明 

ワールド

日鉄は「素晴らしいパートナー」とトランプ氏、買収承

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 5
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 6
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 9
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中