米政権が国務省の大規模再編計画を議会に通知、人員削減や「西側価値観」重視

トランプ米政権は29日、ルビオ国務長官が4月に表明していた国務省の大規模組織再編に関する計画を正式に通知した。写真は国務省の紋章。ワシントンで2017年1月撮影(2025年 ロイター/Joshua Roberts)
[ワシントン 29日 ロイター] - トランプ米政権は29日、ルビオ国務長官が4月に表明していた国務省の大規模組織再編に関する計画を正式に通知した。数千人規模の職員削減のほか、人権担当部門を「西側の価値観」重視方針に転換し、移民担当部門は移民の本国送還に軸足を移す方向にすることなどが盛り込まれている。
この計画は、トランプ大統領が掲げる行政部門のリストラと「米国第一主義」に沿うような各省庁の態勢づくりの一環。
ルビオ氏は「組織再編計画は国務省をより機動的にして、米国の国益を推進し、世界中で国民の安全を守ることへの備えを強化してくれる」と説明。議会側の意見も考慮し、何の成果もないままコストと組織が肥大してきた同省のスリム化を目指すと強調した。
ロイターが通知文書の内容を確認したところでは、全734部局のうち300を超える部局が縮小や統合、廃止となる。また米国内で勤務する職員3448人が削減される。
民間人安全保障や民主主義、人権担当次官ポストや、世界中の戦争犯罪と紛争を監視する専門部署は廃止し、新たに設置する民主主義・人権・労働局を対外支援・人道問題担当次官が監督する。
通知文書には、民主主義・人権・労働局は「革新的な自由という西側の伝統的な考えを国務省の価値観外交の基礎とする」組織に変わり、対外支援・人道問題担当次官が「国際開発庁(USAID)時代後」の対外援助の効率性と監督責任を確保すると記されている。
新設される「自由市場・自由労働事務所」は自由市場の原則推進を担い、既存の「人口・難民・移民局」は不法移民を出身地に送り返す政権の取り組み支援に専念するという。
「エネルギー資源局」は「経済・エネルギー・企業問題局」に吸収され、気候変動政策に従事してきた部署は廃止されることも確認された。