トランプ氏周辺で強まる対ロ追加制裁論、さまざまな選択肢を考慮

米議会の与党共和党議員やホワイトハウス高官の一部から、トランプ大統領に対してロシアへの追加制裁発動を促す声が強まりつつある。写真は、トランプ大統領に抗議するデモに参加する自由の女神の仮面をつけた参加者。3月8日、キーウの米国大使館前で撮影(2025年 ロイター/Valentyn Ogirenko)
[ワシントン 29日 ロイター] - 米議会の与党共和党議員やホワイトハウス高官の一部から、トランプ大統領に対してロシアへの追加制裁発動を促す声が強まりつつある。
トランプ氏はここ数カ月、ロシアのプーチン大統領とは実りある取引を成立させて戦争を終わらせることができると信じ、制裁は効果がないとして発動に慎重な構えを崩していない。
複数のホワイトハウス高官は、トランプ氏がロシアと経済的な協定を締結できるとなお期待し、制裁はかえってロシアとの緊張を高め、停戦への道筋に水を差すと考えていると説明した。
一方でトランプ氏側近らの話では、同氏のプーチン氏へのいら立ちはかなり深刻化していて、特にこの数日でロシアがウクライナ攻撃を加速させたことで、制裁発動を真剣に検討するようになっているという。
ホワイトハウス高官の1人は「トランプ氏は常に(ロシアに対する)圧力をかけるためのさまざまな手段を考えている。これは変わっておらず、いつもさまざまな選択肢に思いを巡らせている」と述べた。
米政府当局は、トランプ氏の指示があればいずれも制裁を実行する態勢にある。新たな制裁として準備されているのは金融やエネルギーなどの分野とされる。
何人かのトランプ氏側近が支持し、同氏も受け入れるか少なくとも妨害しないとみられる施策の1つは、共和党のグラム上院議員と野党民主党のブルメンサル上院議員が先月提出した法案で、ロシア産石油を購入した国から米国に輸出される製品に500%の関税を適用するという内容だ。
事情に詳しい関係者は、これならば制裁の効果を保ちつつ、トランプ氏としてはプーチン氏に自身の命令ではなくあくまで議会の措置だと伝え、対話の窓口を維持できる点から、側近らが評価していると明かした。
ともにトランプ氏に近いグラム氏と同じ共和党のグラスリー上院議員は今週、今こそプーチン氏への圧力を高める時だと強調している。
トランプ氏は28日に大統領執務室で記者団に「取引成立が近づいていると思うなら、制裁でそれに波風を立てたくない」と語った。
記者団からプーチン氏は戦争終結を望んでいるかと聞かれると「分からない。だが2週間程度であなた方に伝える」と述べ、ロシアから新たな和平案が提示されるのを待っているとの認識を示した。
その上で「プーチン氏がわれわれをうまく利用しているのだとすれば、少し違うやり方で応じることになる」と付け加えた。