APEC、米関税の影響警告 米中高官が会談

5月15日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)は米国の関税引き上げによって域内の輸出は今年ほとんど伸びないと警告した。写真は3月、パナマのバルボア港で撮影(2025年 ロイター/Enea Lebrun)
Jihoon Lee
[西帰浦(韓国) 15日 ロイター] - アジア太平洋経済協力会議(APEC)は15日、米国の関税引き上げによって域内の輸出は今年ほとんど伸びないと警告した。韓国のリゾート地済州島で、通商担当相会合がきょうから2日間の日程で開幕した。
会合で公表した地域動向分析報告書で、域内の輸出は今年はわずか0.4%の増加にとどまると予想した。昨年は5.7%増加していた。
今年の域内成長率見通しも従来の3.3%から2.6%に下げた。
APECは声明の中で「貿易伸び率は、特に製造業と消費財における外需の減少により、APEC全体で急激に低下する。財関連の措置を巡る不確実性の高まりがサービス貿易に重くのしかかる」と指摘した。
トランプ政権の大々的な関税措置は、APEC加盟国の半分以上を対象としている。今回の通商担当相会合は、世界貿易機関(WTO)の改革を含め、多国間貿易やその他の協力課題について議論する見通し。
韓国産業通商資源省の鄭仁教・通商交渉本部長が記者団に明らかにしたところによると、会合の合間に、グリア米通商代表部(USTR)代表と中国の李成鋼・通商交渉官が会談した。詳細は不明。
グリア氏と李氏は今月10─11日にスイスのジュネーブで初の対面会談に臨み、関税の大幅引き下げで合意した。
韓国産業通商資源省によると、鄭氏は、世界経済と貿易が、不確実性に起因する圧力の拡大に直面していると強調し、APECに対し対話を通じて政治・経済の課題に取り組むよう促す方針。
グリア氏は韓国側との二国間協議も予定しているほか、ニュージーランドとの初の対面会談や他のアジア諸国の代表との会談も行う。
グリア氏は済州島への出発に先立ち、CNBCに「野心的になりたい人々とできる限り迅速に行動していく」と語った。