ウルグアイのムヒカ元大統領死去 「世界一貧しい大統領」

南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が13日死去した。2009年11月モンテビデオで撮影(2025年 ロイター/Pablo La Rosa)
Lucinda Elliott Helen Popper
[モンテビデオ 13日 ロイター] - 南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が13日死去した。89歳だった。在任中は大統領官邸ではなく首都モンテビデオ郊外にある質素な自宅に住み、「世界一貧しい大統領」と呼ばれた。
ムヒカ氏は「ペペ」の愛称で国民に親しまれ、2010年から15年まで左派政権を率いた。同性婚や妊娠初期の中絶を認める法律に署名し、大麻販売の合法化案も支持するなど、市民の自由に関する問題で当時としては画期的なリベラルな立場を取った。
オルシ大統領は「あなたがわれわれに与えてくれた全てのもの、そしてウルグアイ国民への深い愛情に感謝する」とXに投稿した。
ブラジル、チリ、メキシコの左派大統領をはじめとする中南米の指導者はムヒカ氏の死を悼んだ。ブラジルのルラ大統領は「ムヒカ氏は誰よりも民主主義を擁護した。社会正義を訴え、あらゆる不平等の撤廃を求め、戦い続けることを決してやめなかった」と称賛した。
ムヒカ氏は農場で少年時代を過ごし、1960年代後半にマルクス主義を掲げるゲリラ組織に参加した。人を殺害したことは一度もないと後に語っているが、警察や兵士との激しい衝突を経験し、一度は6発の銃弾を受けたと述べている。
軍事政権下で15年近くを獄中で過ごしたが、1985年にウルグアイに民主主義が回復されると釈放され政界に復帰し、次第に左派の指導的人物として頭角を現した。閣僚を務めた後、74歳で大統領に就任した。
引退後は政治活動を続ける一方で、妻で元副大統領のルシア・トポランスキー氏と農地で野菜を栽培した。
がんの診断を受けた後でムヒカ氏は次のように語った。「若い人たちに伝えたい。人生は美しいけれど、やがて疲れ果ててつまずくこともある。しかし大切なのは、転んでもそのたびに立ち上がることだ。そして怒りを感じたときは、それを希望に変えることだ」