訂正(発表者側の訂正)-インタビュー:日本、アジア最大の投資先になる公算大 変化に期待=EQT創業者

5月14日、スウェーデンのプライベートエクイティ(PE)ファンド大手EQTの創業者コニー・ヨンソン氏(写真)は、日本が今後アジア最大の投資先になる可能性があるとの見方を示した。写真は都内で13日撮影(2025年 ロイター/Miho Uranaka)
Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 14日 ロイター] - スウェーデンのプライベートエクイティ(PE)ファンド大手EQTの創業者コニー・ヨンソン氏は、日本が今後アジア最大の投資先になる可能性があるとの見方を示した。トランプ米政権による関税措置を受け、国際経済の先行きに不透明感が強まる中でも、日本市場が持つ構造的な変化に対する魅力は変わらないと語った。
ヨンソン氏は東京都内で実施したロイターとの単独インタビューで「日本がアジアにおける最大かつ最も重要な投資市場になる非常に大きな可能性がある」と述べて期待感を示した。
日本には依然として資本配分やコーポレート・ガバナンス(企業統治)、説明責任、透明性などの面で構造的な課題が残り「変化を受け入れる意思」が問われているが、政治家や企業、メディア、労働組合など幅広いステークホルダーが変化の必要性を認識し始めており、これが日本市場の投資魅力を一段と高めているという。
「過去にもこうした兆しはあったが、今回は実現する」と語り、鍵を握るのは日本経済を支える中小企業の改革への参加意欲だとした。競争力を維持するためには再編が不可欠とみている。
トランプ米政権が打ち出した相互関税の影響で、PEファンドがM&A(合併・買収)関連の取引を延期する動きも出ている。LSEG(ロンドン証券取引所グループ)によると、2025年第1四半期(1─3月)における日本でのPEファンドによるM&A取引総額は140億ドル超と高水準だったが、4月1日から5月12日までに成立した案件はわずか5億ドルにとどまる。
EQTは、関税のような外的ショックに弱い製造業などの分野にはほとんど投資しておらず、成長性があり、地政学的リスクが比較的少ない長期安定型セクターに特化しているという。
ヨンソン氏はまた、「米国が他国との距離を生むような振る舞いをしている時代において」スウェーデン発のPEファンドであるEQTが「はるかに友好的なモデル」として受け入れられているとし、米国離れの流れを追い風にできるとの認識を示した。
EQTはアジア全域を対象としたファンドを立ち上げており、125億ドルの資金調達を目指しているが、4月の初回出資でのコミットメントは100億ドルを超え、順調に進んでいる。ヨンソン氏は、日本を含む国別の具体的な配分目標は設けていないが、プライベート・キャピタルやインフラ、不動産のチームで日本における採用を進めているほか、成長投資チームの立ち上げも模索していると明かした。
個人向けの投資商品にも注力している。PEはこれまで富裕層や機関投資家向けとされ、リテール市場にはなじまないとされてきたが、ヨンソン氏は、パフォーマンスの良さや構造の工夫次第で、「EQTの運用資産のうち個人富裕層の比率は現在の10%から倍増する可能性がある」とした。日本市場でも、参入余地が広がるとみており、月内にも購入・換金が柔軟な「オープンエンド型」戦略(訂正)の投入を控えているという。
一方で、日本市場における最大の懸念は、投資ファンドのレピュテーション(評判)リスクだと警鐘を鳴らす。複数の米系大手ファンドが、上場企業の同一資産の争奪戦を繰り広げる事例が相次げば、業界全体への不信感が広がりかねないと指摘。「日本で信頼を得て受け入れられるためには、業界全体がもっと注意を払うべき」とし、こうした動きは業界の在り方そのものを見直す契機になるとも語った。
※インタビューは13日に実施しました。
(発表者側の申し出により、本文9段落目の「公募投信」を「戦略」に訂正します。)