トランプ氏の航空機譲り受け、与党議員からも懸念の声相次ぐ

トランプ米大統領がカタール王室から高額の航空機を無償で譲り受ける計画を巡り、野党民主党だけでなく与党共和党議員からも懸念の声が相次いでいる。写真は、カタール所有のボーイング機。2月15日、フロリダ州のパームビーチで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
By Richard Cowan, Patricia Zengerle
[ワシントン 13日 ロイター] - トランプ米大統領がカタール王室から高価な航空機を無償で譲り受ける計画を巡り、野党民主党だけでなく与党共和党議員からも懸念の声が相次いでいる。
トランプ氏は12日、カタールからの申し出を拒否するのは「馬鹿げている」と批判を一蹴。航空機は必要な改修後、大統領専用機として使用される見通し。
カタールのムハンマド首相兼外相は14日、CNNに対し、この申し出は「非常に単純な政府間の取引」であり、トランプ氏への個人的な贈り物ではないと説明し、取引が違法とみなされれば撤回すると語った。
ジョン・スーン上院院内総務は記者団に「精査すべきことが数多く出てくる。この件には非常に多くの問題があり、非常に深刻な疑問を招くと思う」と警告した。
カタールの外交政策を長年非難してきたテッド・クルーズ上院議員はCNBCに対してこうした取引に不安を持っていると答えた上で「(カタールから提供される)航空機はスパイや監視活動の面から相当な問題を引き起こすので、今後の展開を見定めたい」と付け加えた。
ランド・ポール上院議員は、トランプ氏が航空機を受け取るのは間違いだと断言した。FOXニュースの番組で「わざわざ不適切に見える行動をする価値はないと思う」と語り、自分ならば受け取らないと強調した。
「空の宮殿」として知られる同機を無償で譲り受けることで費用の節約になるとの主張に対し、専門家は大統領の移動手段として利用できるように改修するには何年もの期間と数億ドルの費用がかかると指摘している。
上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー委員長はポリティコに対し、「まるで米国がカタール大使館に入るようなものだ」と述べ、提供される航空機は監視装置の点検と安全対策の強化が必要との認識を示した。その上で「航空機がどれだけ早く改修されるのか分からない」と語った。
国防総省はすでに、老朽化した現行のエアフォースワンの後継機を調達しており、ボーイングBA.Nによる納入が数年以内に予定されている。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、トランプ氏に民間ジェット機が提供されることが、議会の承認を経ず外国政府から政府高官が贈呈品を受け取るのを禁じた憲法の規定になぜ違反しないのか、司法長官が議会で明確に説明するべきだと主張。カタールの申し出について司法省が把握する情報を議会に報告するまでは、トランプ氏が指名した同省高官の人事承認を阻止すると表明した。
シューマー氏はまた、大統領の警護と通信の安全性確保に必要な改修費用をカタール政府が負担するかどうかについて回答を求めていると述べた。
米政府がその費用を負担しなければならないのであれば、「1─2年しか使わない航空機になぜ米国の納税者が何億ドル、あるいはそれ以上の費用を費やすよう求められているのか」と疑問を呈した。