EU、研究者誘致へ5億ユーロ拠出 頭脳流出の受け皿目指す

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長(右)は5日、研究者らを欧州に呼び込むため5億ユーロ(5億6660万ドル)相当を拠出すると発表した。(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
[パリ 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は5日、研究者らを欧州に呼び込むため5億ユーロ(5億6660万ドル)相当を拠出すると発表した。
フランスのマクロン大統領も同調し、1億ユーロを拠出することを明らかにした。両氏はパリのソルボンヌ大学で表明した。
トランプ米大統領が連邦政府の資金を削減したり、米主要大学と対立したりしていることから、研究者らの受け皿になることを目指す。
拠出資金は研究プロジェクトに充てられ、欧州の大学が外国の研究者らを招へいできるようにする。
マクロン氏は「自由を愛するなら、われわれと共に自由を守るために協力してほしい」と呼びかけた。フォンデアライエン氏はEU加盟国に対し2030年までに国内総生産(GDP)の3%を研究開発に投資するよう促した。
トランプ氏は今年1月に大統領に返り咲いて以来、連邦資金の凍結や留学生のビザ取り消しなど、米大学との対立が顕在化している。高等教育が反ユダヤ主義、反米主義、マルクス主義、過激な左派思想に偏っていると主張。ハーバード大学に対しては先週、免税資格をはく奪すると表明し、大学側は違法な措置だとして反発している。
これまでは、欧州の大学は米国の大学に資金力ではるかに劣るため、先端的な研究者が米国に集中する傾向が強かった。ただ、足元でこうした研究者の生活が脅かされる事態となっており、スタンフォード大学の教授ロバート・N・プロクター氏はロイターに、「頭脳流出の逆転現象が起こる可能性は十分にある」と指摘した。