今年のロシア財政赤字見通し悪化、原油価格低迷で想定収入下振れ

4月30日、ロシア財務省が公表した2025年財政赤字の国内総生産(GDP)比見通しは1.7%で、従来の0.5%から悪化した。写真はシリア向けのロシア産原油を運ぶタンカー。3月撮影(2025年 ロイター/Karam al-Masri)
[モスクワ 30日 ロイター] - ロシア財務省が30日公表した2025年財政赤字の国内総生産(GDP)比見通しは1.7%で、従来の0.5%から悪化した。原油価格低迷が長期化している影響で、想定するエネルギー収入を24%減額した一方、歳出計画は引き上げたためだ。
同省が見込む25年の石油・ガス収入は、10兆9400億ルーブルから8兆3200億ルーブルに下振れした。
これに対して歳出計画の規模は8300億ルーブル上積み。ウクライナとの戦争が4年目に突入する中で、既に25年の国防関連支出は25%増額し、GDP比で6.3%と冷戦時代以来の高水準に達している。
それでもシルアノフ財務相は、国防予算には決して手を付けないと語り、削減する意思がないことを強調した。
今回の財政赤字のGDP比見通しは、市場関係者が予想する1.5%よりも高かった。多くのアナリストは、政府が国防予算を削減せずに将来の財政収支均衡を目指したいなら、増税や社会保障費圧縮、借り入れなどを進めるしかないとみている。
一方ロシア経済発展省は30日、成長率の基本シナリオと別に貿易戦争がエスカレートして、世界経済の落ち込みがより大きくなることを織り込んだリスクシナリオを初めて公表した。
基本シナリオで想定される25年の成長率は2.5%だが、リスクシナリオの下では1.8%にとどまるとされた。昨年の成長率は4.3%だった。