ニュース速報
ワールド

韓国大統領が戒厳令、国会は拒否 軍介入やデモなどで騒然

2024年12月04日(水)04時15分

韓国の尹錫悦大統領は3日、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。8月撮影(2024年 ロイター/Chung Sung-Jun/Pool via REUTERS)

Jack Kim Ju-min Park

[ソウル/ワシントン 4日 ロイター] - 韓国の尹錫悦大統領は3日夜、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。韓国で戒厳令が発令されるのは1980年以来。国会は軍隊が突入を試みる中、戒厳令の解除を求める動議を可決。国会前では抗議する人々が集まるなど騒然となった。

尹大統領は演説の中で、野党が国を危機に陥れていると非難した上で、「恥知らずな親北朝鮮の反国家勢力」を撲滅すると主張。これは自由と憲政秩序を守るための措置とした。ただ、具体策については言及せず、北朝鮮からの具体的な脅威についても言及していない。

大統領の演説後、軍は国会と政党の活動を禁止し、メディアと出版業者は戒厳令司令部の管理下に置かれると発表した。

韓国国会は議員300人のうち190人が出席して審議を行い、大統領が発令した戒厳令の解除を求める動議を可決した。議長は戒厳令宣言は無効と宣言した。

韓国の法律では、議会が多数決で戒厳令を解除するよう要求した場合、大統領は直ちに解除しなければならない。

聯合ニュースによると、大統領自身が率いる与党も戒厳令を速やかに解除するよう求めた。

国会の生中継映像には、戒厳令を敷く任務を負っていると思われる軍の兵士らが議事堂に突入する様子や、職員らが消火器を噴射して兵士らを押し戻そうとする様子が映っていた。

戒厳令宣言直後から国会議事堂の外には抗議する人々が集まり始めた。「緊急戒厳令を撤回せよ」と叫ぶ者や、大統領の逮捕を求める向きもあった。

米ホワイトハウスは、戒厳令発令について米国は事前に通知されていなかったと述べた。バイデン政権は韓国政府と連絡を取り、状況を注意深く監視しているとした。

キャンベル米国務副長官も、韓国の情勢を「深刻な懸念」を持って注視しており、いかなる政治的紛争も平和的かつ法の支配に従って解決されることを強く望み、期待していると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ減税法案、下院予算委で可決 週内にも本会議

ビジネス

午後3時のドルは145円前半へ下落、米国債格下げで

ワールド

「コメ買ったことない」は間違い、先週買ったばかり=

ワールド

台湾沿岸警備当局、中国の「政治作戦」に警戒 頼総統
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内にはっきり表れていた「重篤な病気の初期症状」
  • 4
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 5
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 6
    刺さった「トゲ」は放置しないで...2年後、女性の足…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    飛行機内の客に「マナーを守れ!」と動画まで撮影し…
  • 9
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 10
    MEGUMIが私財を投じて国際イベントを主催した訳...「…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 9
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 10
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中