NZ中銀が0.25%利下げ、約4年ぶり引き下げ 追加緩和を示唆
8月14日、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、5.25%とした。利下げは2020年3月以来となる。写真はウェリントンで2017年7月撮影(2024年 ロイター/David Gray)
Lucy Craymer
[ウェリントン 14日 ロイター] - ニュージーランド準備銀行(中央銀行、RBNZ)は14日、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、5.25%とした。利下げは2020年3月以来となる。インフレ率が中銀目標の1─3%に近づいているとし、今後さらなる利下げを行う可能性を示唆した。
25bpの利下げは中銀の従来予想よりもほぼ1年早く、一部の市場関係者には驚きとなった。25年末にかけて積極的な緩和路線が続くとの見方が強まった。
経済指標の軟化を受けて、市場では今回の会合で25bpの利下げが行われるの可能性を70%近く織り込んでいたが、ロイター調査では、エコノミスト31人中19人が金利据え置きを予想していた。
中銀は声明で「委員会はオフィシャルキャッシュレート(OCR)を引き下げることで金融政策の抑制レベルを緩和することに合意した」と述べた。
「追加緩和のペースは、価格動向が低インフレ環境と一致しており、インフレ期待が2%の目標付近で安定しているという委員会の確信に左右される」とした。
これを受けて外国為替市場ではニュージーランド(NZ)ドルが1%下落し、0.6015米ドルとなった。
スワップ市場は10月までに追加で29bp、年末までに67bpの利下げを織り込んだ。政策金利は25年末までに3.0%近くになると見込まれており、中銀の予測を大きく下回る。
中銀は引き締め的な政策を続ける必要があると強調し、慎重な姿勢を示したが、25年末までに金利が3.85%になると予想している。
ASB銀行のチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は、中銀が今後も会合ごとに金利を25bp引き下げていくと予想。「インフレ圧力が予想よりも早く解消されれば、中銀は3.25%前後のより中立的な水準に速く戻す必要があるかもしれない」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アビジット・スーリヤ氏は「中銀はさらなる政策緩和について慎重な姿勢を示しているようだが、多くの人が予想しているよりも積極的に利下げするとみている」と述べた。
オア中銀総裁は記者会見で、5月以降成長が鈍化し、物価予想に関する懸念は解消したと述べた。
中銀はニュージーランドが今年、2四半期連続でマイナス成長となり、テクニカルなリセッション(景気後退)に陥ると予想している。
中銀のフォワードガイダンスは、来年半ばまでに少なくともあと3回の利下げを示唆しており、24年第4・四半期のキャッシュレートを4.9%、25年第2・四半期は4.4%と予測している。これまでは、25年半ばまでは利下げを開始しないと予想していた。
声明と一緒に公表された議事要旨は「委員会は、リスクのバランスが5月の金融政策声明以降、徐々に変化していると認識した」としている。
さらに「経済が予想より急速に縮小していることを示唆する全般的な指標により、7月に強調された生産と雇用への下振れリスクがより顕著になっている」と説明した。
中銀は21年10月以降525bpの利上げを行った。インフレ率はここ数カ月で低下し、 足元3.3%で推移。今年第3・四半期には中銀の目標範囲に戻ると見込まれている。