ニュース速報
ワールド

プーチン氏18日訪朝、24年ぶり 安保など協定署名か 米が警戒感

2024年06月18日(火)05時10分

 ロシア大統領府(クレムリン)は、プーチン大統領が18─19日に北朝鮮を訪問すると発表した。14日撮影(2024年 ロイター/Maxim Shemetov)

[モスクワ/ソウル/ワシントン 17日 ロイター] - ロシア大統領府は、プーチン大統領が18─19日に北朝鮮を訪問すると発表した。プーチン氏の訪朝は2000年7月以来、24年ぶり。核保有を進める北朝鮮と急速に距離を縮めるロシアの姿勢が改めて浮き彫りになった。

北朝鮮国営朝鮮中央通信(KCNA)も、プーチン氏が金正恩朝鮮労働党総書記の招待で18─19日に平壌を公式訪問すると17日報じた。

金総書記は昨年9月にロシア極東を訪問した際、プーチン氏に訪朝を招請していた。

ロシア大統領府は「金総書記の招待により、プーチン大統領は6月18─19日の日程で北朝鮮を友好国賓訪問する」と発表した。19─20日にはベトナムを訪問する。

ロシアのウシャコフ大統領補佐官(対外政策担当)は、プーチン大統領の訪朝中に、ロシアと北朝鮮が安全保障問題を含むパートナーシップ協定に署名する可能性を示唆。いかなる合意も「さらなる協力の見通しを説明するもので、国際政治や経済の分野など、両国間で近年起きたことを踏まえ署名されるだろう。無論、安全保障問題も考慮される」と述べた。

ただ、こうした協定は他のいかなる国も直接対象にするものではないとも述べた。

北朝鮮を訪れるロシアの代表団には、ベロウソフ国防相、ラブロフ外相、ノバク副首相が含まれるという。

ウクライナ侵攻開始を機に、西側と激しく対立したロシアは北朝鮮との関係復活をアピールしている。プーチン氏にとって、金氏を味方につけることは、ウクライナ戦線向けの武器の供給源を確保するとともに、北朝鮮の核問題を抱える米国とアジア同盟国に揺さぶりをかける意味合いも持つ。

北朝鮮は、ロシアへの武器供与を繰り返し否定している。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、ロシアと北朝鮮による関係深化を懸念していると述べた。

また、今回の訪朝は、ロシア大統領選後のプーチン氏による「魅力攻勢」の一環のように見えるという認識を示した。

韓国外務省によると、金烘均・外務次官が14日に米国のキャンベル国務副長官と緊急電話会談を行い、プーチン大統領の訪朝計画について協議。外務省は、今回の訪問が北朝鮮とロシアの一段の軍事協力につながることはあってはならないとしている。

韓国の梨花大学のリーフ・エリック・イーズリー教授はプーチン大統領を歓迎する国が一段と少なくなる中、金氏にとってプーチン氏の訪問は「勝利」になるとし、「プーチン氏と会談することで、米国主導の国際秩序に反対する国々の中で北朝鮮の地位が高まるだけでなく、自身の国内の正当性の強化にも役立つ」と述べた。

米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」のジェニー・タウン氏は、ロシアの北朝鮮に対する働きかけは米国主導の世界秩序に代わるものを構築する取り組みの一環と指摘。「ロシアは西側諸国と戦う中、軍事パートナーとしての北朝鮮に価値を見出している」とし、北朝鮮はロシアと関係で国連安全保障理事会での支援のほか、経済、軍事、農業協力、貿易の面で直ちに具体的な成果が得られると語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中