ニュース速報

ワールド

ウガンダで死刑含む厳格な反LGBTQ法が成立、米国などが非難

2023年05月30日(火)12時54分

 ウガンダのムセベニ大統領が5月29日、世界で最も厳しい内容を含む「反LGBTQ(性的少数者)法」に署名し、発効した。2022年1月、同国中部ゴンバ県で撮影(2023年 ロイター/Abubaker Lubowa)

[カンパラ/ブリュッセル 29日 ロイター] - アフリカ東部ウガンダのムセベニ大統領が29日、世界で最も厳しい内容を含む「反LGBTQ(性的少数者)法」に署名し、同法が発効した。

複数回の法律違反や、エイズウイルス(HIV)感染者の同性と関係を結ぶ行為といった「悪質な同性愛」に対しては死刑が適用される。米国など西側諸国からは非難が相次ぎ、ウガンダに対する経済援助の制限につながる可能性も出ている。

同性同士で性的関係を持つこと自体、既にウガンダでは違法だが、今回の法律はさらに規制が強化されている。例えば死刑の規定に加え、同性愛を「促進」した場合は禁錮20年が科せられるという。

ムセベニ氏は以前から同性愛を「正常さからの逸脱」と評していた。ウガンダのある人権活動家は「大統領は本日、国家が後押しする形の同性愛嫌悪とトランスジェンダー嫌いを合法化させた」と批判した。

またウガンダの人権活動団体や活動家らは憲法裁判所に、反LGBTQ法の妥当性に異議を申し立てた。

バイデン米大統領はこの法律を人権に対する「悲劇的な侵害」と呼び、米政府はウガンダとのあらゆる関係において反LGBTQ法が与える影響を考慮していくと表明。「重大な人権侵害や汚職に関与した人物に対する制裁適用や米国への入国制限など、さらなる措置を検討している」と述べた。

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は声明で「この法律は国際人権法に違反し、残虐・非人道的・屈辱的な刑罰の禁止や尊厳と無差別の順守を含むアフリカ人権憲章に基づくウガンダの義務にも反する」と指摘した。

「ウガンダ政府は全ての国民を保護し基本的権利を守る義務がある。それを怠れば国際社会との関係も損なわれる」と訴えた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界EV販売は年内1700万台に、石油需要はさらに

ビジネス

米3月新築住宅販売、8.8%増の69万3000戸 

ビジネス

円が対ユーロで16年ぶり安値、対ドルでも介入ライン

ワールド

米国は強力な加盟国、大統領選の結果問わず=NATO
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中