ニュース速報

ワールド

スイス中銀、0.5%利上げ クレディ支援で「危機に歯止め」

2023年03月24日(金)00時34分

スイス国立銀行(中央銀行)は23日、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げ1.5%とした。2022年4月撮影(2023年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[チューリヒ 23日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は23日、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げ1.5%とした。

追加利上げの可能性は排除できないと指摘した。必要に応じて外為市場に積極的に介入する姿勢を示した。

4回連続の利上げとなった。スイスのインフレ率は現在3.4%と、中銀の目標レンジ(0─2%)を依然上回っている。

利上げ幅は市場予想と一致した。中銀が金融市場の混乱よりもインフレを懸念していることが浮き彫りとなった。

中銀は声明で「今後数四半期の世界経済の成長見通しは依然低迷している。同時にインフレは当面、世界的に高止まりする公算が大きい」との見方を示した。

金融大手クレディ・スイスに対する支援措置で「危機に歯止めがかかった」とも表明。「中銀はスイスフラン建てと外貨建てで大量の流動性支援を提供している」と述べた。

中銀は経済予測も修正。今年の経済成長率を1%と予測した。昨年12月時点の予測は0.5%前後だった。

今年のインフレ率見通しは2.6%。2024年と25年は2%。

中銀は「今日の利上げがなければ、インフレ予測は中期的にさらに上昇していた」と指摘した。

<クレディ・スイス救済>

ジョルダン中銀総裁は記者会見で、スイス中銀が政府と規制当局と共に実施したクレディ・スイスに対する救済策で、システミックな危機を防止できたと表明。「この解決策がうまくいかなければ、クレディ・スイスは破綻し、スイスだけでなく世界経済にも大きな影響が及んでいた」と述べた。

その上で「ここ数週間、銀行セクターの信用は現実的に失われ、これを食い止めるために流動性以外の別の解決策が必要だった」と述べた。

スイスの金融大手UBSはクレディ・スイスを30億スイスフランで買収すると発表。ジョルダン総裁は、金融の安定を維持するためにUBSによるクレディ・スイスの買収をできるだけ円滑に進めることが重要だと述べた。

総裁はロイターのインタビューで、現行の措置は「極めて大きく、大胆だ」と語り、銀行に対するさらなる流動性は必要ないとの考えを示した。

<一段の利上げ排除せず>

スイス中銀は一段の利上げは排除できないと表明。ジョルダン総裁はロイターに対し「最新のインフレ予測を見ると、金融引き締めを継続する必要性があることが分かる」と語った。

中銀はまた、必要なら外国為替市場で積極的に活動する姿勢も示した。

エコノミストは、スイス中銀がインフレ抑制のため利上げを継続すると予想。ミラボーのエコノミスト、ゲロ・ユング氏は「さらなる動きがある可能性がある。スイス中銀はタカ派的な利上げを行うだろう」と述べた。

世界の中央銀行はインフレ抑制に向け利上げを継続しており、欧州中央銀行(ECB)は16日の理事会で0.5%ポイントの大幅利上げを決定。米連邦準備理事会(FRB)は前日まで2日間の日程で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げを決定したほか、イングランド銀行(英中央銀行)もこの日、政策金利を0.25%ポイント引き上げた。

*写真を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中