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情報BOX:独原発、運転期間延長は可能か 露天然ガス供給減
ドイツはロシア産天然ガスの供給が完全にストップする場合に備え、原子力発電を含むあらゆる国内電源の活用を検討している。写真は2021年末に停止した南部グンドレミンゲンの原発。2021年12月29日撮影(2022年 ロイター/Lukas Barth)
[フランクフルト 22日 ロイター] - ドイツはロシア産天然ガスの供給が完全にストップする場合に備え、原子力発電を含むあらゆる国内電源の活用を検討している。2011年に日本で起きた福島第1原発事故を受け、メルケル前首相は原発の利用停止を約束し、主要な電力会社は今年末までに残る原子炉3基の稼働を停止する準備を進めてきた。
電力会社は、燃料棒と専門スタッフの手配に制約があるため、原子炉の運転期間延長は不可能だとしている。政府も3月、法律、安全、経済負担の問題に鑑みて運転期間延長を却下した。
もっとも、社会民主党(SPD)率いる政権内の一部リベラル派と、野党・保守政党内の一部からは、環境上の理由で国が段階的脱却を進めてきた石炭の活用が再検討されている以上、原発も再検討すべきだとの声が出ている。
ショルツ首相は今のところ、原発の運転期間延長に反対している。
<天然ガス供給が縮小>
ロシアが2月24日にウクライナ侵攻を開始して以来、ドイツは天然ガス輸入に占めるロシア産の割合を55%から推計35%に減らしたが、今も依存は続いている。
欧州連合(EU)はロシア産エネルギーの利用削減を模索してきた。ロシア側もドイツに天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム1」の稼働率を40%に削減。ロシアは西側の制裁によって修繕作業が遅れていると説明するが、欧州側は供給削減の口実に過ぎないとしている。
いずれにせよ、ドイツ連邦ネットワーク庁は家庭の暖房用と産業用のエネルギー供給に支障が出ると予想している。供給不足による価格高騰は、景気後退リスクを高めることにもつながる。
天然ガス火力発電はドイツの発電の15%を占める。石炭と併せて原発を活用すれば、発電セクターの窮状が緩和される可能性がある。
ドイツの大手電力会社エーオン、RWE、EnBWが運営する原発3基の発電能力は合計4300メガワット(MW)。昨年までは原発6基が稼働して国内電力の12%を供給していたが、昨年末に3基が稼働を停止した。
これ以外のドイツの代替エネルギーは、天候に左右される太陽光・風力発電および、輸入液化天然ガス(LNG)となる。
ただLNGは、輸入施設の容量不足と国際市場における獲得競争という問題がある。特に今月は、米国最大級のLNG輸出用プラントが爆発事故で稼働を停止している。
<ドイツにとって原発とは>
連立与党の緑の党にとって、原発は今も受け入れられないものだ。その起源は1970年代の環境活動家の運動にさかのぼる。安全上のリスクと、核廃棄物を巡る未解決の問題が反対の理由だった。
原発の有用性を再び認めれば、メルケル氏を批判する勢力とポピュリスト(大衆迎合主義者)の声にお墨付きを与えることになるだろう。
<運転延長は法的に可能か>
ライプチヒの法律家、Christian Raetzke氏は、核技術協会KernDが発行した記事で、「数年間の延長は法的に許容できる」とし、温室効果ガスの排出量ほぼゼロという原発の利点も挙げた。
運転期間を延長するための関連法は「速やかに可決することができる」という。
とはいえ延長の手続きは複雑で、議会で既存法を改正する必要がある。
<電力会社の見解>
電力会社は運営上、経済上の理由から原発の運転期間延長に反対しているが、政府の方針に従う姿勢だ。
エーオンのレオンハルト・ビルンバウム最高経営責任者(CEO)は従業員宛ての書簡で、政府は原発の運転期間延長を検討した上で、解決策にはならないとの見解を下したと説明。「われわれはこの決定を尊重しなければならない」と記した。国内紙が22日に報じた。
別の業界幹部も、ドイツの原発の運転期間延長は「手遅れ」との見方を示した。
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