ニュース速報

ワールド

米大統領、台湾有事に武力行使の選択肢 主権で妥協せずと中国

2022年05月23日(月)17時27分

 5月23日、バイデン米大統領は、台湾に中国が武力行使できないように他国と共に取り組むとし、台湾防衛に向け武力を行使する意向があるとした。写真は都内で5月23日撮影(2022年 ロイター/Jonathan Ernst)

[東京/北京/台北 23日 ロイター] - バイデン米大統領は23日、岸田文雄首相と会談後の共同記者会見で、 台湾有事の際に米国が台湾防衛に関与する意向を示した。台湾を巡るこれまでの戦略的曖昧(あいまい)性から一歩踏み出した発言だが、米政権当局者は台湾政策に変更はないと説明した。

バイデン氏は、台湾が攻撃を受けた場合、米国は台湾を防衛するのかとの質問に「イエス」と答え「それがわれわれがコミットしたことだ」と述べた。

「われわれは(台湾が中国の一部だとする)一つの中国政策に同意している。しかし(台湾への)武力の行使は適切でない」とし、そのような事態が起こらないとの見方を示した。

これについて、ホワイトハウス当局者は台湾巡る政策に変更はないと説明。「大統領が述べたように、われわれの政策は変更していない」と述べ、一つの中国政策および台湾海峡の平和と安定へのコミットメントにあらためて言及した。また台湾関係法に基づく自衛のための台湾への防衛装備品供与にコミットしていると述べた。

バイデン氏は昨年10月も台湾防衛について同様な発言をしている。その際も、大統領報道官は政策の変更を発表したわけでないと説明した。

東・南シナ海を中心に示威的行動を強める中国にバイデン氏は厳しい姿勢を取っている。会見では、ウクライナへの侵攻を続けるロシアについて、プーチン大統領が代償を払うことを期待すると述べたが、それも中国が台湾に侵攻すれば同じ憂き目を遭うという含みがある。

中国外務省の汪文斌報道官は23日の定例会見で、米国は台湾の独立を防衛すべきでないと発言。中国は主権や領土の一体性に関する問題で妥協や譲歩の余地はないと述べた。

台湾外交部(外務省)は、バイデン氏と米政府が台湾へのコミットメントを再確認したことを歓迎し謝意を示した上で、引き続き自衛能力を強化し、台湾防衛で米国や日本などと協力を深化する方針を示した。

会見でバイデン大統領は中国製品への関税引き下げを検討していると述べた。

対中追加関税について「前政権が発動した措置だ。(引き下げが)検討されている」と述べた。

また、石油輸出国機構(OPEC)に原油の増産を要請。原油価格上昇を受けて戦略備蓄を放出しているが、需要を満たすには至っていないと述べた。

Biden says weighs reducing tariffs on China, asking OPEC to pump more oilBiden says he would be willing to use force to defend taiwan日米首脳、北朝鮮など安保上の課題で緊密な連携確認=ホワイトハウスバイデン氏「日本の防衛に完全にコミット」、日米首脳会談でUPDATE 4-In Tokyo, Biden says would be willing to use force to defend Taiwanホワイトハウス当局者、台湾巡る政策「変更ない」China's foreign ministry hits back at Biden comments on U.S. aiding Taiwan militarilyTaiwan foreign ministry thanks Biden for reaffirming safety commitment

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正

ワールド

米国、コロンビア大統領に制裁 麻薬対策せずと非難

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に

ワールド

再送-トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 6
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 7
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中