ニュース速報

ワールド

イラン次期大統領、核合意再建に前向き バイデン氏との面会拒否

2021年06月22日(火)05時31分

イランの大統領選で当選したイブラヒム・ライシ司法府代表 (60)は21日、2015年に米国などの主要6カ国と結んだ核合意の立て直しに向けた協議に前向きな姿勢を示した(2021年 ロイター/Majid Asgaripour)

[ドバイ/ワシントン 21日 ロイター] - イランの大統領選で当選したイブラヒム・ライシ司法府代表 (60)は21日、2015年に米国などの主要6カ国と結んだ核合意の立て直しに向けた協議に前向きな姿勢を示した。ただ、米国が対イラン制裁を解除した場合でも、バイデン米大統領との面会をきっぱりと拒否した。

米ホワイトハウスのサキ報道官もその後、最高指導者ハメネイ師がイランの実権を掌握していることに変わりはないとし、バイデン大統領が新政権の幹部と会談する計画はないと述べた。

米国務省はライシ氏が大統領選に当選する過程は「かなり作られたもの」と見なしていると指摘。ウィーンでの核合意を巡る協議は「数日内に」再開するとした。

保守強硬派のライシ氏は18日の大統領選で当選後の初めての記者会見で、近隣の湾岸アラブ諸国との関係改善を外交政策の優先事項とすると表明。その上で、敵対するサウジアラビアに対してイエメンへの介入を直ちにやめるように求めた。

イランは決裂した核合意を立て直し、イラン経済に大打撃を与えている米国の対イラン制裁を解除しようとしている。こうした中で反欧米派のライシ氏は8月3日、現実主義のロウハニ大統領の後任に就く。

ライシ氏は「国益を保証するための交渉を支持する。米国は直ちに核合意に再び参画し、合意下の義務を果たすべきだ」と主張。イランの外交政策は核合意に限定されるものではないとし、「米国による制裁は全て解除され、イラン政府によって検証されなければならない」とした。

イランや欧米諸国の当局者はどちらも、イランの主要政策の最終決定権は最高指導者ハメネイ師にあるため、ライシ政権発足によってイランの交渉姿勢が変わる可能性は低いと指摘する。

米国が対イラン制裁を解除した場合、バイデン氏と会うかどうかを尋ねられたライシ氏は「それはない」と答えた。

湾岸アラブ諸国は、イランのミサイル計画や中東に「不安定」をもたらす行為と、核合意を分けることが危険であると指摘する。イランとサウジアラビアは何十年にもわたり、イエメンからイラクまでさまざまな国で代理戦争を繰り広げてきた。

ライシ氏は、ハメネイ氏の見解と同じように「地域内での活動とミサイル計画」は交渉の余地がないと語った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中