ニュース速報

ワールド

アフリカ豚熱の違法ワクチン、中国が取り締まり強化へ

2021年03月08日(月)17時38分

 3月8日、中国農業農村省は、アフリカ豚熱(ASF)の違法なワクチン生産・販売の取り締まりを強化する方針を示した。写真は黒竜江省で2018年9月撮影(2021年 ロイター/Hallie Gu)

[北京 8日 ロイター] - 中国農業農村省は8日、アフリカ豚熱(ASF)の違法なワクチン生産・販売の取り締まりを強化する方針を示した。

同省は2019年から違法ワクチンに対する警戒を呼び掛けているが、問題が深刻化していることが浮き彫りとなった。

同省は「偽のASFワクチンの潜在的なリスクを予防し、豚肉生産全般の回復と安定した産業の発展を維持するため」一段と厳しい措置が必要だと表明した。

ロイターは1月、業界関係者の話として、違法ワクチンの利用で新型の慢性的なASFが発生しており、豚肉生産が減少する可能性があると報じていた。

中国ではASFの流行で豚肉生産が急減。現在は回復途上にあるが、アナリストや業界関係者によると、冬季にASFの感染が再拡大し、豚肉生産の回復に遅れが出ている。

現時点でASFワクチンを承認している国はないが、業界関係者によると、特定の遺伝子を削除した生きたウイルス株が、感染対策として中国で広く流通しているとみられる。

同省は、ASFの識別と検査を強化すると表明。地方政府に対し、人工的に遺伝子を削除されたウイルス株が見つかった場合は直ちに畜産当局に報告するよう要請した。

また、すべての地方自治体に対し、偽ワクチンの不正取引に対する処罰を強化するよう要請。犯罪行為が疑われる場合は迅速な司法当局への報告を求めた。

不正行為に関わった医薬品メーカーには、最大限の罰金を科し、免許を取り消すほか、関与した個人は、動物用医薬品の製造を一生涯禁じられる。

同省は偽ワクチンのリスクを農家に教育するキャンペーンも計画。偽ワクチンの利用について当局に情報を提供した人には3万元(4600ドル)が支給される。

ASFは、最近も四川省、湖北省、雲南省で報告されるなど全国で公式に報告されているが、アナリストは、実際の感染ははるかに広範に及んでいると指摘している。

コンサルティング会社、北京恩睿康農業技術諮詢の専門家は「ASFは非常に深刻な問題で、このところ制御不能なほど、非常に深刻になっている」と指摘。

政府の対応は評価できるが、ASFに感染した豚を食肉処理場に送ることを禁じる措置に一部の生産者が従わないケースも出てくるだろうと述べた。

省政府は、ワクチン利用防止対策の状況を6月30日までに提出する必要がある。2回目の提出期限は11月30日。

中国の動物疾病予防管理センターと動物衛生疫学センターは、「新型」のASFに関する疫学調査を強化する。

研究者によると最近、複数の変異ウイルスが見つかっている。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円急落、日銀が追加利上げ明確に示さず

ビジネス

米国株式市場=続伸、ハイテク株高が消費関連の下落を

ワールド

ベネズエラ情勢巡る「ロシアとの緊張高まり懸念せず」

ビジネス

米11月中古住宅販売、0.5%増の413万戸 高金
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中