ニュース速報

ワールド

中国PPI、6月は5カ月連続の低下 回復の兆しも

2020年07月09日(木)13時45分

 7月9日、中国国家統計局が発表した6月の生産者物価指数(PPI)は、前年比3.0%低下した。写真は上海にある工場で2月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した6月の生産者物価指数(PPI)は、前年比3.0%低下した。新型コロナウイルスの世界的大流行が製造業の需要を圧迫する中、5カ月連続の低下となったが、市場予想よりも小幅にとどまった。

製造業の部分的な改善の兆しが示され、中国経済の緩やかな回復が続いていることを示唆した。

ロイターがまとめたアナリスト予想は3.2%低下、5月は3.7%低下だった。

前月からは0.4%上昇と、5月の0.4%低下から上昇に転じ、製造業部門の改善傾向を示した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、マーティン・ラスムセン氏は、PPI発表後のリポートで「原材料、工業製品、消費財の価格の伸び加速」がPPIの前月比での上昇につながったと分析。

「財政刺激策とインフラ支出はなお増えているため、経済活動と生産者物価は今後数カ月でさらに回復するだろう」とした。

一方、オーストラリア・ニュージランド銀行(ANZ)は新型コロナ流行の長期化を背景に、PPIは今年いっぱい低下が続き、平均で約2%のマイナスになると予想。

ANZの中国担当エコノミスト、Zhaopeng Xing氏は、生産者物価のデフレは和らぐ兆しがあるが、「前例のない規模の刺激策で製造業の物価が急速に持ち直す可能性には疑問の余地がなおある」とした。

中国国家統計局が先週発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と、前月の50.6から上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。コロナ対策の行動制限の解除が国内消費の押し上げにつながっている。[nL4N2E70PJ]

PPIと同時に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.5%上昇し、市場予想と一致した。5月は2.4%上昇していた。

食品とエネルギーを除くコア指数は0.9%上昇と、5月の1.1%から伸びが鈍化した。

一部のアナリストは、中国の幅広い地域で今夏に起きた大規模洪水で野菜の供給に悪影響が及び、価格上昇圧力が生じる可能性を指摘している。

中国の国内総生産(GDP)は、新型コロナ感染拡大がピークに達した第1・四半期に大幅に落ち込んだが、第2・四半期はプラス成長に戻るとみられている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:ロシア防衛企業の苦悩、経営者が赤の広場で焼身

ワールド

北朝鮮の金総書記、24日に長距離ミサイルの試射を監

ワールド

ホンジュラス大統領選、トランプ氏支持のアスフラ氏が

ビジネス

エヌビディア、新興AI半導体開発グロックを200億
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中