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メキシコ大統領がトランプ氏を称賛 初の首脳会談は争点に触れず
メキシコのロペスオブラドール大統領(右)が7月8日、トランプ米大統領と初めて会談した(2020年 ロイター/TOM BRENNER)
[ワシントン 8日 ロイター] - メキシコのロペスオブラドール大統領が8日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と初めて会談した。表向きは米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」の発効を祝う首脳会談だが、両首脳は両国関係の明るい側面を強調した一方、経済や麻薬対策、移民政策における意見の相違についてほとんど触れなかった。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を考慮し、両大統領は握手を避けたが、マスクはともに着用していなかった。
7月1日のUSMCA発効を祝う会合は当初2日間の予定だったが、米政府がカナダ製品への関税発動を検討していることなどからカナダのトルドー首相が出席を見合わせたため、1日に短縮された。トランプ大統領はトルドー首相とは後で話すと語った。
トランプ大統領は4年前の選挙戦でメキシコからの移民を侮蔑する発言を繰り返し、メキシコ国境への壁建設を公約。昨年にはメキシコへの関税発動をちらつかせ、ロペスオブラドール政権に不法移民対策を強化させていた。
こうした経緯にもかかわらず、ロペスオブラドール大統領は会談で、トランプ氏を称賛。「われわれの主権を侵すようなことを一度も試みなかったことに深く感謝している。(メキシコを)植民地のように扱うことはなかった」とし、トランプ氏がメキシコに優しさと敬意をもって接してきたと米国民に伝えたい、と述べた。
トランプ氏は、ロペスオブラドール氏と今回署名した共同声明について、今後の両国の繁栄、安全保障、調和に向けた取り組みを約束するものだと発言。さらに、ロペスオブラドール氏との間で「あらゆる障害を乗り越え、素晴らしい関係を築いた」と冗談を飛ばした。
会談では、ロペスオブラドール氏が進めようとしているエネルギーインフラ分野での数十億ドル規模の契約再交渉や麻薬対策などで具体的な進展の兆しは見られなかった。
今回の首脳会談を巡っては、11月の米大統領選を前にトランプ氏がヒスパニック系有権者の支持拡大を図る機会に利用したとの批判もある。
ロペスオブラドール氏は今回の訪米で、大統領選でトランプ氏と対決予定のバイデン前副大統領と会う予定はない。
メキシコの元米国大使は、トランプ氏がメキシコ人に敬意を払っているとするロペスオブラドール氏の言葉は、移民たちのリーダーを「驚愕させる」と述べた。
バイデン氏はツイッターで、トランプ氏が2016年の大統領選以来、メキシコ系移民への差別を扇動していると非難した。
今回のロペスオブラドール氏の訪米には、メキシコの大富豪カルロス・スリム氏なども同行した。8日夜にはメキシコ代表団と米企業幹部を招き、トランプ氏主催の夕食会が開かれた。
ホワイトハウスによると、ロペスオブラドール氏を含むメキシコ代表団全員がトランプ氏との会談前に新型コロナ検査を受けた。
*内容を追加しました
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