ニュース速報

ワールド

アングル:土俵際のメイ英首相、後任候補の顔ぶれ

2018年11月17日(土)10時49分

11月15日、与党・保守党を率いるメイ英首相は、英政府が合意したEU離脱協定案に反発し、離脱支持派の首相就任を求める反EU派議員からの攻撃にさらされている。写真は、後任候補の1人、レッドサム下院院内総務。ロンドンで13日撮影(2018年 ロイター/Simon Dawson)

[ロンドン 15日 ロイター] - 与党・保守党を率いるメイ英首相は、英政府が合意した欧州連合(EU)離脱協定案に反発し、離脱支持派の首相就任を求める反EU派議員からの攻撃にさらされている。

メイ氏は次期総選挙が行われる2022年までの続投を表明したが、辞任を求める議員が一定数に達すれば不信任投票に持ち込まれる。

メイ氏の主な後任候補の略歴は以下の通り。

●ボリス・ジョンソン氏(54歳)

メイ氏批判の急先鋒。メイ氏のEU離脱交渉の進め方に抗議し、7月に外相を辞任した。多くの反EU派から2016年のEU離脱キャンペーンを代表する人物と目され、10月の保守党党大会では強い口調で自説を展開した。保守党は低税率と強硬な政策という従来の方針に回帰し、左派、労働党の政策を模すべきではないというのが持論。

●ジェレミー・ハント氏(52歳)

7月に辞任したジョンソン氏に代わり、保健相から横滑りで外相に就いた。保守党員はEU離脱を巡る見解の相違をいったん棚上げし、共通の敵であるEUとの戦いで団結すべきだ訴えている。2016年の国民投票ではEU残留に投票した。6年にわたり保健相を務めた経歴を持つが、有権者の支持は今一つ。

●ジェイコブ・リースモグ氏(49歳)

古き良き英国紳士のイメージを醸し出す富豪で、離脱急進派の一部から熱狂的な支持を得ている。影響力を持つ反EU議員グループのトップで、離脱協定案が公表された翌日にメイ氏に不信任の書簡を送りつけた。ただこのほど、自身は首相に就任するつもりはないと表明した。

●ドミニク・ラーブ氏(44歳)

離脱協定案は保守党の公約に反するとして、15日にEU離脱担当相を辞任した。在任期間はわずか5カ月だった。閣僚としては新参者に属するが、2010年の当選以来、閣外相を歴任している。16年の国民投票では離脱を訴えた。空手の有段者。

●サジード・ジャビド氏(48歳)

元バンカーで自由市場主義者。入閣後は大臣の座を歴任し、党内で支持を固めてきた。パキスタン系移民の第二世代。反EU派とみられていたが、16年の国民投票では残留支持に投票した。

●マイケル・ゴーブ氏(51歳)

16年の離脱キャンペーンで最も知名度が高かった人物の1人。キャメロン前首相の辞任表明に伴い16年に行われた保守党党首選ではメイ氏に敗れた。精力的で、新たな政策を進める上では閣内で最も実行力があると目されている。16年の離脱キャンペーンではボリス・ジョンソン氏と手を組んだが、その後はジョンソン氏支持からメイ氏支持に鞍替えし、これまでのところメイ氏が進める離脱政策を支えてきた。

●デービッド・デービス氏(69歳)

反EU派。16年7月に離脱担当相に指名されたが、メイ氏の政策に反発して今年辞任した。暫定的に首相に就くとの見方がある。

●ペニー・モーダント氏(45歳)

国際開発相。現メイ内閣では数が少なくなった離脱支持派に属する。離脱協定案の公表を受けて辞任するとみられていたが、辞任表明しなかった。

●アンドレア・レッドサム氏(55歳)

下院院内総務としてメイ内閣に残る離脱支持派。16年の保守党党首選ではメイ氏と決選投票となったが、出馬を取りやめ、メイ氏支持に回った。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中