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焦点:安倍首相の訪中、知財新対話が目玉に 得意分野の補完目指す

2018年10月16日(火)19時02分

 10月16日、安倍首相の訪中では、日中両国でイノベーションや知的財産について協力を進めるため新たな枠組みが作られ、議論が進展する見通しだ。2016年、中国・杭州で行われた首脳会談で撮影(2018年 ロイター/Etienne Oliveau)

[東京 16日 ロイター] - 日中両国でイノベーションや知的財産について協力を進めるため、新たな枠組みが作られ、議論が進展する見通しだ。関係筋によると、安倍晋三首相が25日から訪中し、習近平国家主席との首脳会談で合意し、年内の初会合を目指す。

製造業などにおける日本の先端技術を学びたい中国側と、技術流出を警戒しつつ中国側との協力を模索する日本側との思惑が一致。3兆円規模の通貨交換協定と並ぶ首脳会談の目玉となりそうだ。

新設される枠組みは「日中イノベーション・知的財産対話」(仮称)。実現に向け、日中間で機運が高まったのは、今年5月の李克強・中国首相の訪日のときだった。

安倍首相とともに北海道にあるトヨタ自動車<7203.T>の工場などを見学。意見交換する中で、日本企業による先端科学技術と製造技術の組み合わせ、中国側の人工知能(AI)などデジタル技術で協力するアイデアが浮上したという。

ただ、問題も存在している。日本は米国とともに、中国が他の先進国の知的財産権を侵害していると主張してきており、日中協力を進めるに当たり、知的財産権保護に関し、中国側に国際的なルールの順守を希望している。

日中両国の協力は、米中貿易摩擦が激化するなかで、中国側から見れば米国をけん制するカードの意味合いもありそうだ。

ただ、日米基軸を政策の基本に据える安倍政権にとって、日中接近が米国の反感を買うことは避けたいところ。

尖閣諸島問題の影響を受けて2013年に失効した通貨スワップの再開をめぐり、米国側から不快感が非公式に示されたとの声も政府・与党関係者の一部から漏れており、日中の友好促進と日米同盟との両立が円滑に行くのか、安倍首相の外交手腕が問われることにもなりそうだ。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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