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韓国と北朝鮮が閣僚級会談、鉄道・道路の連結事業など巡り合意

2018年10月16日(火)08時23分

 10月15日、韓国と北朝鮮は、先月の南北首脳会談でまとめた経済協力再開に関する合意の履行に向けた具体策を協議するため、軍事境界線がある板門店で閣僚級会談を実施した。会談中に握手する両国の閣僚級代表団。板門店で撮影。提供写真(2018年 ロイター)

[ソウル 15日 ロイター] - 韓国と北朝鮮は15日、先月の南北首脳会談でまとめた経済協力再開に関する合意の履行に向けた具体策を協議するため閣僚級会談を行い、鉄道と道路の連結事業を開始することなどで合意した。

閣僚級会談は軍事境界線がある板門店で行われ、韓国側の代表は趙明均統一相が、北朝鮮側の代表は李善権・祖国平和統一委員会委員長が務めた。

韓国統一省が発表した共同文書は「南北関係を新たな高い段階に発展させるための行動計画について協議し、合意に至った」とした。

会談では、11月末または12月上旬に連結事業の着工式を行うことで合意。今月末から輸送計画について共同で現地調査を実施するという。

2032年五輪の共同開催を目指すための計画を巡り、今月中に協議することで合意。朝鮮戦争で生き別れになった離散家族については、ウェブカメラを通じた面会や動画交換を再開する方法を11月に模索する。

このほか、先月の首脳会談で締結した軍事合意に続く取り組みを策定するため、南北の軍当局者が「近い将来」面会する見通し。軍事合意には南北軍事共同委員会の設置や軍事演習の停止、飛行禁止区域の導入のほか、軍事境界線での段階的な監視所撤収と地雷撤去が含まれる。

また、北朝鮮の開城工業団地内に前月開設された南北連絡事務所で今月22日に森林再生に関する会合を開く見通しで、健康と病気の予防に関する会合も今月下旬に予定されている。

南北融和が進展する一方で、米政府は慎重姿勢を崩していない。米国務省の報道官はこの日、韓国の文在寅大統領がこれまでに、北朝鮮の核問題の解決と切り離して南北関係の改善が進むことはないと言明していると指摘。

「国連安保理決議が禁止する特定分野商品を含む国連制裁を全ての加盟国が完全に履行し、(北朝鮮の)違法な核・ミサイル開発を終わらせるために全ての諸国が真剣に責任を果たすことを期待する」と述べた。

閣僚級会談の終了前に北朝鮮側の代表を務めた李氏は、合意履行に対する障害を巡って韓国を批判。「これまで着手してきたプロジェクトを振り返ると、解決すべき問題がある」と述べた。詳細については言及しなかった。

韓国の趙統一相はこの発言について質問されると、「特別な背景」はないとした上で、鉄道・道路事業や文化交流の遅延は「互いの状況」によるものだと語った。

趙氏は軍事境界線に向けて出発する前に記者団に「朝鮮半島の非核化と南北関係の前進において非常に重要な局面を迎えている。2回目の米朝首脳会談も控えている」と述べた。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文大統領は前月の首脳会談で、鉄道と道路の連結を含む経済協力の再開で合意。文大統領はまた、金委員長が、米国が相応の対応をとれば国際的な専門家の監視の下で主要なミサイル関連施設と寧辺の核施設を廃棄する意思があると述べたことを明らかにした。

トランプ大統領は前週、米国の許可なく韓国が北朝鮮への制裁を解除することはないとの見解を示している。

*内容を追加します。

ロイター
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