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ロイター記者有罪判決、表現の自由と無関係=スー・チー氏
9月13日、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問(写真)は、同国でイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題を取材していたロイターの記者2人が国家機密法違反の罪でいずれも禁錮7年の判決を言い渡されたことについて、控訴は可能であり、2人の拘束は表現の自由とは関係ないとの考えを示した。写真はハノイで撮影(2018年 ロイター/Kham)
[ハノイ/国連 13日 ロイター] - ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問は13日、同国でイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題を取材していたロイターの記者2人が国家機密法違反の罪でいずれも禁錮7年の判決を言い渡されたことについて、控訴は可能であり、2人の拘束は表現の自由とは関係ないとの考えを示した。
スー・チー氏は、ハノイで開催中の世界経済フォーラムの東南アジア諸国連合(ASEAN)会議で、国際社会から批判されているロイター記者への有罪判決について見解を問われると、「多くの人が実際に判決文を読んだかどうか疑問だ。判決は表現の自由とは全く関係がなく、国家機密法に関係したものだ」と発言。「法の支配に基づくならば、記者らには控訴し、判決の誤りを指摘する権利がある」と語った。
ヘイリー米国連大使はスー・チー氏の発言についてツイッターに、「治安部隊によるロヒンギャへの迫害に目をそむけているかと思えば、今度は迫害を取材したロイターの記者2人の実刑を正当化している。信じられない」と投稿し、強く非難した。
米国務省のナウアート報道官も記者団に対し、スー・チー氏の多くの発言に米政府は賛同しないと述べ、ロイター記者を直ちに解放すべきとの見方を示した。
報道官は「判決はミャンマーにおける報道の自由に疑問を投げかける」とし、「記者を陥れるよう指示を受けたという警察官の証言にもかかわらず有罪判決が下されたことは、ミャンマーが保証しているはずの司法の独立と公正な裁判について深刻な懸念を提起する」と述べた。その上で「米国は引き続きミャンマー政府に対し、この不当な措置を直ちに是正するよう求める」と強調した。
9月初旬にロイターの記者2人に対する有罪判決が言い渡されて以降、記者2人を支援する動きが国際的に広がっており、ペンス米副大統領も2人を釈放するよう求めている。
スー・チー氏はペンス氏の釈放要請についてコメントを求められた際に、裁判は公開法廷で行われ、希望する人は誰でも傍聴できたとし、仮に誤審があったと考えている人がいるならそれを指摘して欲しいと語った。
スー・チー氏はこれより先、同じ会合で、後から振り返ってみれば、政府はラカイン州で起きていた状況にもっとうまく対応できたかもしれないとの見解を示した。
「ただ、長期的な安定と安全を確保するため、我々は全てに公平である必要がある」と語った。
昨年8月、ミャンマー西部ラカイン州で政府の治安部隊とロヒンギャ族の衝突が発生し、70万人以上のロヒンギャ族が隣国バングラデシュに逃れている。
ロイターはスー・チー氏の発言を受けて声明を発表し、「われわれはワ・ロン記者とチョー・ソウ・ウー記者がミャンマーの国家機密法に違反しておらず、同国に害をもたらす活動にはいっさい関わっていないと引き続き信じている」と表明した。
*内容を追加します。