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トルコ財務相、リラ危機脱却を強調 資本規制は排除

2018年08月17日(金)07時53分

 8月16日、トルコのアルバイラク財務相(写真)は、世界各国の投資家やエコノミスト向けに電話会議を開き、トルコが通貨危機から力強く回復するとし、国内銀行は健全だと強調した。イスタンブールで10日撮影(2018年 ロイター/Murad Sezer)

[イスタンブール 16日 ロイター] - トルコのアルバイラク財務相は16日、世界各国の投資家やエコノミスト向けに電話会議を開き、トルコが通貨危機から力強く回復するとし、国内銀行は健全だと強調。また、米国との対立は切り抜けることができると訴えた。

アルバイラク財務相は数千人の投資家などに対し、トルコがあらゆる国内課題を完全に理解・認識しているとする一方、現状を市場の逸脱した状態と表現し、その対応に当たっていると述べた。

トランプ米大統領がトルコへの鉄鋼輸入関税を2倍にすると表明したことについては、多くの国が同様の措置を受けており、トルコがドイツやロシア、中国などと共に対応する考えを示した。

アルバイラク氏は、政府が銀行セクター支援をためらわないとの姿勢を示した上で、銀行はボラティリティーに対処可能で、大規模な預金の引き出しは起きていないと説明した。

また、トルコが国際通貨基金(IMF)に支援要請したり、資金の国外流出を阻止するための資本規制を導入する計画はないと表明した。

電話会議に先立ち、リラは3%超上昇。会議直後のリラはほぼ横ばいで推移したが、投資家らはアルバイラク氏が資本規制を導入しないと確約したことを慎重ながらも評価し、リラ、トルコ国債などは上げ幅を拡大する場面もあった。

ただ、トルコ当局が拘束している米国人のブランソン牧師を解放しなければ、追加制裁を科す用意があるとムニューシン米財務長官が語ったことを受け、上げ幅を縮小。1740GMT(日本時間17日午前2時40分)時点では、1%超高の5.85リラで推移した。

トルコリラは今週、対ドルで7.24リラの過去最安値を記録し、年初来での下落率は約40%に達した。金融政策に対するエルドアン大統領の影響拡大や対米関係悪化への懸念が背景。

チャヴシュオール外相は、トルコが米国との問題を望んでいないとし、「対米問題は非常に容易に解決できるが、今のアプローチではできない」と述べた。

ステート・ストリーツの新興国ポートフォリオマネジャー、アビシェーク・クマル氏は「アルバイラク氏が何度も強調し、本当に心強かったのは、トルコが資本規制を導入する意図がないということだ」と指摘。

資本規制はトルコの投資家に影響を与えるだけではなく、トルコに近く、貿易や銀行面での関与も大きい欧州連合(EU)にも打撃となると述べた。

トルコのドル建て国債もしっかり。一時は0.03ドル上昇し、リラのインプライドボラティリティーも低下した。

M&Gのファンドマネジャー、クラウディア・カリッチ氏は、この日の電話会議について、投資家との初めての会議としては問題なかったと指摘。「投資家を悪く言ったり、敵対的な発言はなかった」と述べた。

ただトルコ国債の保証コストには市場の不安もなお見られ、翌年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格が5年物をなお上回っている。

*写真を付けて再送します。

ロイター
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