ニュース速報

ワールド

アングル:へンリー王子とマークルさんあす結婚、英王室に新風

2018年05月18日(金)15時11分

 5月12日、英国のヘンリー王子(33)と米女優メーガン・マークルさん(36)の結婚式が19日行われる。写真はロンドンのケンジントン宮殿で2017年11月撮影(2018年 ロイター/Toby Melville)

Michael Holden

[ウィンザー(英国) 18日 ロイター] - 英国のヘンリー王子(33)と米女優メーガン・マークルさん(36)の結婚式が19日行われる。若々しい王子と華やかなハリウッド女優のカップルは、格調高い英王室に新風を吹き込むと期待されている。

ヘンリー王子はエリザベス女王の孫で、王位継承順位は第6位だ。マークルさんは、法律事務所を舞台とした米人気テレビドラマ「SUITS/スーツ」出演などで知られる。

2人は、1000年近く英王室の居城となってきたウィンザー城で結婚式を挙げる。結婚式と披露宴には、女王など英王室メンバーのほか多くの有名人が出席する。また、世界中から取材記者数千人が、絵のように美しいウィンザーの町に集まる見込みだ。

「本当に素晴らしい。皆にとって、とても特別な日になるだろう」と、ヘンリー王子の父チャールズ皇太子は、訪問先のフランスで最近語った。

かつて度重なるスキャンダルで王室の問題児だった元陸軍軍人のヘンリー王子は、2016年7月に共通の友人の紹介で初めてマークルさんに出会った。当時、マークルさんは王子のことはあまり知らず、ヘンリー王子もマークルさんや出演作品について知らなかったという。

それでも王子にとっては「一目ぼれ」だったようで、たった2度のデートの後、アフリカ南部ボツワナの星空の下でのキャンプにマークルさんを連れて行った。

「メーガンとは信じられないほどすぐに恋に落ちた。これは、星の配置が全てパーフェクトだったからだ」と、ヘンリー王子は昨年11月の婚約発表時のインタビューで語った。「この美しい女性は突然私の人生に現れて、私も彼女の人生に飛び込んだ」

19日の挙式は、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で行われる。ウィンザー城はエリザベス女王の居城で、現在も人が住む要塞としては世界最大かつ最古のものだ。

歴代約40人の国王がここに住み、礼拝堂にはヘンリー8世やエリザベス女王の父ジョージ6世を含む国王10人の遺体が納められている。

このような伝統の重みとは対照的に、マークルさんは極めて現代的な女性だ。離婚歴があり、白人の父親とアフリカ系米国人の母親を持つマークルさんの経歴は、多くの注目を集めてきた。それはポジティブなものばかりではなかった。

ヘンリー王子は広報を通じて2016年11月、メディアを非難する異例の声明を出し、マークルさんについての一部報道が人種偏見的で女性差別的だとして批判した。

マークルさんの家族にも関心が集まり、結婚式に招待されなかったと非難する異母兄らの発言が報じられたりした。

だが結婚式当日は、マークルさんの離婚した母親で臨床心理士のドリア・ラグランドさんが、礼拝堂に向かう花嫁の車に同乗する予定だ。心臓手術を受けたと一部で報じられた、父親で元照明担当ディレクターのトーマス・マークルさん(73)は欠席する。

<英王室と結婚>

今回の結婚は、近年耳目を集めた英王室のエピソードと比較されることが多い。エドワード8世は、米国人で離婚歴のあるウォリス・シンプソン氏との結婚を巡って1936年に退位している。またエリザベス女王の妹マーガレット王女は、王室の侍従武官ピーター・タウンゼンド氏との結婚を取りやめている。

「メーガンさんは、王室に新たな視点をもたらすだろう」と、王室伝記作家クローディア・ジョセフ氏は言う。「彼女は明らかに異なるバックグラウンドの持ち主であり、それは王室に未来をもたらすために非常に重要なことだ」

故ダイアナ元妃の次男ヘンリー王子は、常に英王室の人気者だった。

カメラマンに頬を膨らませてみせるやんちゃな子供だったヘンリ―王子だが、わずか12歳だった1997年、自動車事故で死亡した母親の棺の後を神妙な面持ちで歩く姿が、多くの人々の心に刻まれた。

「いかなる状況であっても、あのような事を子どもにやらせてはならないと思う。今なら、あんなことは起きないのではないか」と、王子は昨年6月のインタビューで語っている。

母親の死の衝撃によって、王子が道を踏み外しかけた時期があり、10代のころはたびたび良からぬ振る舞いがニュースに取り上げられた。王子は2002年、英王室が所有する別荘近くのパブで、飲酒年齢未満なのに酒に酔い、大麻を吸ったことを認めている。

また、ロンドンのナイトクラブの外でパパラッチともみ合いになったり、パーティーでナチス軍人の仮装をして大きな非難を浴びたりした。

だが陸軍に入り、メディアの注目を逃れ、恵まれた生活を捨ててアフガニスタンに2度従軍するなどの経験を積み、落ち着きを取り戻していった。

<人気者>

今では心の病を巡る社会問題に対する積極的な取り組みで知られるヘンリー王子は、20代のころに神経衰弱寸前まで行ったことがあると告白している。そうした弱さを率直に認める態度に加え、天性の人懐っこさが、多くの英国民に親近感を抱かせている。

「ヘンリー王子にこれほど人気がある理由の1つは、若いころ問題児で、トラブル続きだったことだ」と、王室歴史家ヒューゴ・ベッカー氏は言う。「それでさらに人気が出た」

最近の世論調査では、回答者の約7割がヘンリー王子を好意的にとらえていた。王室メンバーの「支持率」としては、兄のウィリアム王子に続く2位で、92歳のエリザベス女王を上回っている。

米ロサンゼルス出身のマークルさんは、2002年に医療ドラマ「ジェネラル・ホスピタル」でテレビデビューを果たし、その後さまざまなテレビ番組や映画に出演している。

2011年に映画プロデューサーのトレバー・エンゲルソン氏と結婚したが、2年後に離婚。「スーツ」でのレイチェル・ゼイン役が出世作となった。先月放映されたスーツのエピソードでは交際相手と結婚し、それを最後に降板している。

マークルさんのハリー王子との結婚は、「おとぎ話」のようだとの声も多い。

「アメリカ人は英王室が大好きだ。アメリカの女優がイギリスの王子と結婚するとなれば、まるでおとぎ話だ」と、前出の王室伝記作家ジョセフ氏は語る。

しかし英国では、必ずしもそのような評価は一般的ではないようだ。最近の世論調査では、半数以上が結婚式は見ないと回答している。

「メーガン・マークルがすでに自力で十分に成功していたのではなく、結婚によって地位と富を手に入れるという考え方は、良くないと思う」と、反王室主義団体「レパブリック」のグラハム・スミス代表は語る。

「それはまったく、おとぎ話ではない」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

良品計画、8月31日の株主に1対2の株式分割

ビジネス

日経平均は小幅続落、ファーストリテが320円押し下

ビジネス

英GDP、5月は前月比-0.1% 予想外に2カ月連

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中