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日米首脳会談、新通商交渉開始で合意 米は2国間に意欲
4月18日、トランプ米大統領と安倍晋三首相は、2日間の日程で行われた日米首脳会談の終了後に共同会見し、日米間で新しい通商交渉を開始することを明らかにした。写真はフロリダ州パームビーチで撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
[パームビーチ(米フロリダ州)/東京 18日 ロイター] - トランプ米大統領と安倍晋三首相は18日、2日間の日程で行われた日米首脳会談の終了後に共同会見し、日米間で新しい通商交渉を開始することを明らかにした。トランプ大統領は2国間貿易協定がより望ましいと指摘し、自由貿易協定(FTA)の締結に意欲を示したが、安倍首相は環太平洋連携協定(TPP)が最善と述べ、新通商交渉が「同床異夢」であることをうかがわせた。
一方、対北朝鮮政策では、両首脳とも日米間の連携を強調。そのうえで米朝首脳会談の成功に向け、トランプ大統領があらゆる措置を取ると述べると、安倍首相は同会談で事態が打開されることを期待するとし、足並みがそろっていることを示した。
会見の中で、トランプ大統領は茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との間で新しい通商交渉を開始することを表明した。
また、日本との貿易問題に触れ「不均衡問題で何らかの措置を取る」と述べ、「通商を巡る2国間の協議加速で、安倍首相と合意した」と指摘した。
そのうえで「日本との2国間貿易協定がより望ましい」「日本と2国間貿易協定について協議している」「遠くない将来に両国にとって良い内容の通商協定を日本と結ぶことを期待している」と語った。
これに対し、安倍首相は、新しい貿易協議の枠組みで決まったことは、麻生太郎副総理とペンス副大統領による対話の枠組みに報告されると説明した。また、この枠組みは、自由で公正な貿易・投資を目指すために設置したと意義を強調。
米国の主張に関連し「米国が2国間の交渉に関心があることは承知している」としながら「日米にとってTPPが最善であると考えて交渉に臨む」との立場を明らかにした。
米国が実施している鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置に関して、日本が適用除外になっていないことについて、日本の製品は高品質で代替性がないものが多く、米国の産業と雇用に多大な貢献をしていると指摘。適用除外に向け「引き続き交渉していく」との方針を示した。
トランプ大統領は、この点に関連して「この問題で多くの国を交渉の席に着かせた」とし「日米間で調整できれば、(日本を)鉄鋼・アルミ関税から除外することを協議する」との見解を示した。
<対北朝鮮、日米で緊密に連携>
通商問題とともに大きなテーマだった対北朝鮮政策に関し、トランプ大統領は「米朝会談の成功に向け、あらゆる措置を取る」と述べ、同首脳会談にかける強い意欲を表明。続けて「北朝鮮が非核化するまで最大限の圧力を続ける」と述べ、「日本との緊密な協力と共同防衛を再確認した」と説明した。
また、「拉致問題は安倍首相にとって重要であり、自分にとっても重要」と語り、米朝首脳会談でこの問題を取り上げる方向性をにじませた。
これに対し、安倍首相は米朝首脳会談で「事態が打開されることを強く期待する」と表明。「トランプ大統領と話し合い、(北朝鮮問題で)完全に見解の一致を見た」と述べた。
また、1994年や2006年における核放棄の約束が北朝鮮によって破られてきたことを指摘しつつ、完全かつ検証可能で不可逆的な核の廃棄を求める立場に変わりはなく、今回の日米首脳会談では、対北朝鮮政策のすり合わせを行ったと強調。北朝鮮に対して見返りを与えない確固とした方針を確認したと述べた。
さらに拉致問題では「解決に努力することで日米が一致した」と強調した。
<為替言及なく、安心感で株高>
今回の首脳会談の結果に対し、市場では「トランプ米大統領による為替への言及や、通商問題に関する踏み込んだ発言が出てくることへの警戒感があったが、会見の内容は思ったほど悪いものではなかった。日本株には安心材料になる」(JPモルガン証券・ チーフ株式ストラテジスト・阪上亮太氏)「米朝首脳会談を控えて、北朝鮮情勢が転機を迎える可能性がある中で、通商問題で日米が対立する構図を避けたかったという側面があったのではないか」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアマーケットエコノミスト 六車治美氏)との見方が浮上。
19日午前の日経平均.N225は、前日比137円94銭高の2万2296円14銭で取引を終了。ドル/円JPY=EBSも107円前半での小動きとなっている。
ただ、一部では「日米通商交渉に向けて静かにゴングが鳴ったが、今後の交渉の過程では円高圧力が加わる場面が出てくる可能性がある。日米2国間FTAになるとしても、条約の本文に入ることはないだろうが、先般の米韓FTAのように附属文書に通貨安誘導を制限する文言が盛り込まれるかもしれない」(シティグループ証券・チーフFXストラテジスト 高島修氏)と先行きを警戒する声も出ている。