ニュース速報

ワールド

欧州の「取り込み」狙う中国、トランプ政権の保護主義に対抗

2017年03月29日(水)19時31分

 3月29日、トランプ米政権の発足後、中国は欧州連合(EU)との関係強化に向け、様々な戦略に出ているようだ。写真はユンケル欧州委員長(左)と中国の習近平国家主席(右)。2016年7月代表撮影(2017年 ロイター)

[ブリュッセル/北京 29日 ロイター] - トランプ米政権の発足後、中国は欧州連合(EU)との関係強化に向け、様々な戦略に出ているようだ。米大統領が掲げる「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」でグローバル化が弱体化するとの懸念が広がる中、そうした流れに対抗するため中国は同盟国探しに必死なようだと外交筋は指摘する。

中国の習近平国家主席は今年1月に開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での講演で、グローバル化や自由貿易の重要性を強調した。

保護主義は自ら暗い部屋に閉じこもるとともに、部屋から光や空気を奪うようなものだと指摘。他国を犠牲にして自国の利益を追求すべきではないと述べ、トランプ氏を名指しこそしなかったものの、同氏の言動を暗にけん制した。

北京のある外交筋は、世界貿易や温暖化対策など、トランプ政権が大きな政策転換を目指す分野で中国が欧州に理解を示していることを挙げ、「トランプ大統領が中国と欧州を近づけている」と述べた。

トランプ氏が中国の計算を狂わせたとの見方もある。トランプ大統領は昨年の選挙選から、中国が意図的に自国通貨を低水準に抑え、自国製品の輸出競争力を高めているとし、それにより米製造業の雇用が中国に奪われていると批判していた。

一方、EU当局者は、今後中国との間で投資拡大に向けた協定も含め、これまでなかなか進まなかったビジネス案件で大きな進展があると見込んでいる。

ただ、中国で事業展開する欧州企業の不満は根強い。在中国のEU商工会議所は3月7日、中国の製造業振興策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」について、「極めて問題」があり、海外企業の差別につながりかねないとの報告書をまとめた。

*見出しを修正しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 8

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中