ニュース速報

ワールド

米ディズニー、男児死亡でイメージに影響 法的措置の可能性も

2016年06月17日(金)14時27分

 6月17日、米フロリダ州オーランドのテーマパーク「ディズニーワールド」にあるホテルの湖沼で2歳の男児がワニに引きずり込まれ、遺体で見つかった事故は、米ウォルト・ディスニーのイメージに影響を与える可能性がある。写真は現場となった湖沼「セブン・シーズ・ラグーン」を捜索する野生生物保護団体職員。15日撮影(2016年 ロイター/Adrees Latif)

[ロサンゼルス/ニューヨーク 16日 ロイター] - 米フロリダ州オーランドのテーマパーク「ディズニーワールド」にあるホテルの湖沼で2歳の男児がワニに引きずり込まれ、遺体で見つかった事故は、米ウォルト・ディスニーのイメージに影響を与える可能性がある。また、専門家によると、同社に法的措置が取られることもあり得るという。

危機発生時のコミュニケーションを専門とするサム・シンガー氏は、「ディズニー」と聞くと「すべてが楽しい」などのイメージが浮かぶが、今回の事故はそれとはまったく違ったものとなった、と述べた。

男児は14日午後、「ディズニー・グランド・フロリディアン・リゾート&スパ」に隣接する湖沼「セブン・シーズ・ラグーン」の水辺で遊んでいたところ、全長1.2─2メートルのワニに襲われ、直後に男児の父親が助け出そうとしたが、行方が分からなくなっていた。遺体は15日に行方不明になった場所の近くでダイバーが発見した。損傷はなく、溺死とみられるという。

ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は遺族に電話をし、公式に哀悼の意を表明。遺族は声明で「打ちのめされている」とした上で、「対応してくれた地元当局やスタッフ」への謝意を示した。訴訟を提起するとは発表していない。

複数の法律専門家は、ディズニーが法的責任を負う可能性について見解は異なるものの、同社が問題の早急な解決を強く望む、との見方では一致している。

専門家らは問題視される可能性がある点として、ディズニーはラウンジチェアを置くなどビーチの快適な環境づくりに努めていた一方で、「遊泳禁止」の標識はあったが、特にワニに対して注意をするよう警告してはいなかったことを挙げた。

けがに関する訴訟を専門とするオーランドの弁護士ルー・ペンダス氏は「男児と家族は(中西部の)ネブラスカから来た。水深約15センチのエリアで子どもを歩かせることが危険だとは、思いもよらなかっただろう」と述べた。

ペンダス氏は、過去45年間でフロリダ州でのディズニーでワニの襲撃があったのは、1980年の1件のみだとみられると述べた。その上で「これは非常に珍しいことだ。しかし適切な標識やワニがビーチに入って来ないようにする壁などを設置することで容易に防げた可能性がある」と指摘。「訪問者の安全確保のため適切な対策を取る必要が法律で規定されている」と述べた。

ディズニーの広報担当から、法的責任の可能性に関するコメントは得られていない。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:自社株買いが刺激する海外マネー、業績より

ビジネス

米中上乗せ関税停止、90日間より延長すべき=中国共

ワールド

トランプ米大統領、中東歴訪終了後「ワシントンに戻る

ビジネス

アングル:日銀、26年4月以降の買入減額ペース模索
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 2
    宇宙から「潮の香り」がしていた...「奇妙な惑星」に生物がいる可能性【最新研究】
  • 3
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習い事、遅かった「からこそ」の優位とは?
  • 4
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 5
    戦車「爆破」の瞬間も...ロシア軍格納庫を襲うドロー…
  • 6
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 7
    対中関税引き下げに騙されるな...能無しトランプの場…
  • 8
    トランプに投票したことを後悔する有権者が約半数、…
  • 9
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 10
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 6
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
  • 7
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 8
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中