アングル:金反騰でも株式市場にくすぶる警戒、25日線乖離が「温度計」に
写真は金の延べ棒。1月28日、ドイツ・ミュンヘンで撮影。REUTERS/Angelika Warmuth
Noriyuki Hirata
[東京 4日 ロイター] - 一時急落した金などの貴金属市場をにらみ、株式市場ではボラティリティーの高まりへの警戒感がくすぶっている。金価格はいったん反発したものの、今後の値動き次第では衆院選を見据えた株高ムードに水を差しかねない。目先は値動きが落ち着くかに関心が寄せられており、25日移動平均線からの乖離が相場の過熱感を示す「温度計」のひとつになりそうだとの見方がある。
<投機の対象になった「安全資産」>
金をはじめとする貴金属価格は週初に急落し、株価にも動揺が波及した。市況を揺るがしたのは、ケビン・ウォーシュ氏が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に指名されたことだ。同氏は過去、量的緩和に批判的な立場だった経緯があり、過剰流動性が失われていくことへの懸念が資金の巻き戻しを促した。
株式市場で意識されているのが、金価格の値動きの荒さだ。金は発行体を持たず、通貨や信用リスクを原則として伴わない安全資産とされてきたが、足元では価格変動の大きさから投機色の強まりが警戒されている。
地政学リスクや世界的なインフレ懸念、米ドルへの信認低下などを背景とした金需要の高まりを受け、金価格は2024年辺りから、上昇基調を強めてきた。「中国が米国債から金へのシフトを強めた局面で、それに投機資金が追随してきた」とマーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘共同代表はみている。
これまでは、実需を背景に25日移動平均線を挟んだ上昇基調だったが、昨年末辺りからは上昇ピッチが速まり、25日線からの上方乖離が拡大。1月28日にはその乖離が、短期的に買われ過ぎとされる5%を大きく超える16%に達した。「(25日線からの)乖離部分は、大筋で投機とみていいだろう」とりそなホールディングスの武居大輝市場企画部ストラテジストは指摘する。
25日線は、投機筋の損益分岐点として意識されやすく、仕込みと手じまいを判断する目線のひとつとされる。2日にはこれを割り込んで下落したが、3日には急回復した。いったん25日線付近まで調整したことで、投機マネーの解消が進んだとの見方から、リスク資産市場に一定の安心感をもたらしたとみられている。
<ボラティリティーは高止まり>
もっとも、前日の急反発で25日線からの乖離は6%超に再び拡大しており、再度調整するリスクはくすぶっている。「金は純然たる工業向けの実需は1割程度のため、割高感が意識されると調整が入りやすい」とマーケットリスクアドバイザリーの新村氏は指摘する。
シカゴ・オプション取引所が算出し、金の予想変動率を示すゴールド・ボラティリティー指数は前週末の1月29日、コロナ禍の20年3月以来の高水準となる46ポイント台に高まっていた。足元では41ポイントとやや低下したものの、引き続き高水準にある。
金価格の先行きに関して「ドルへの信認や米中対立の行方が不透明なことが(金上昇の)底流にある。しばらくは高止まりではないか」と新村氏はみている。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は「金のボラティリティが落ち着くまで、株も腰を据えて買えそうにない」と話している。
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