米FRB、コロナ禍対応による損失局面が転換か 繰延資産が減少
写真は米FRB。2022年6月、ワシントンで撮影。REUTERS/Sarah Silbiger
Michael S. Derby
[3日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナウイルスのパンデミックに対応した金融政策の後遺症で3年という前代未聞の長期間にわたって損失が発生し続けていたが、ついに転換期を迎えたようだ。
FRBは利益を財務省に納付することを法律で義務付けられているが、損失に陥った場合には、それを繰延資産に計上する。その後黒字に転じれば繰延資産の相殺に回し、同資産が全て解消してから利益の国庫納付を再開する。
繰延資産は11月5日から26日までの間に2438億ドルから2432億ドルに減少した。小幅な減少だが、繰延資産が膨らみ続けていた長期的傾向に明らかな変化が見られた。
かつてFRBの事務方を務め現在は業界団体の銀行政策研究所(BPI)のチーフエコノミストであるビル・ネルソン氏は、地区連銀12行の財務状況を調べたところ、FRBは「今四半期に12地区連銀合計の損益が20億ドル超の黒字となりそうだ」と述べた。
FRBはパンデミックを受けて国債と政府機関債を買い入れた結果、保有資産が2022年時点で9兆ドルに膨らんだ。一方で物価高騰を受けて22年序盤に急速な利上げを開始したため、保有資産から得る収入と、準備預金への利払いなどの支出の間にミスマッチが生じた。
ミスマッチの拡大は、その後の利下げ転換によって止まった。
LHメイヤーのアナリスト、デレク・タン氏は、10月の追加利下げで準備預金への付利(IORB)が25ベーシスポイント下がるのと同時に「出血(繰延資産の積み上げ)は停止したようだ」と述べた。
ドイツ銀行のチーフ米国エコノミスト、マシュー・ルゼッティー氏は、「市場金利が付利を上回り始めたので、FRBの損失は止まり、転換するだろう」と述べた。
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