ニュース速報
ビジネス

中国は競争相手にシフト、欧州は内需拡大重視すべき=ECBレーン氏

2025年11月27日(木)06時58分

欧州中央銀行(ECB)チーフエコノミストのフィリップ・レーン氏は、中国が「買い手」から「競争相手」にシフトしたとし、世界経済が変革期を迎える中、欧州は域内内需の拡大に焦点を当てるべきという認識を示した。2024年6月撮影(2025年 ロイター/Anna Gordon)

[ダブリン 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)チーフエコノミストのフィリップ・レーン氏は、中国が「買い手」から「競争相手」にシフトしたとし、世界経済が変革期を迎える中、欧州は域内内需の拡大に焦点を当てるべきという認識を示した。

レーン氏はロイターのポッドキャストで、長らく欧州製品の消費大国だった中国がトップクラスのノウハウを持つ産業を築き上げ、競争相手として、欧州の輸出の窓口を狭めていると指摘。「世界における比較優位パターンは変化した。中国は今、多くの分野で非常に強い」とし、「地政学的な状況とは関係なく、基本的な経済的現実がある。輸出と国内販売の相対的な魅力は変化した」と述べた。

「米国は重要」としつつも、「欧州経済の主要なけん引役ではない」とも指摘した。ただ、米関税措置を背景に世界の貿易の流れが変化し、欧州域内でも中国との競争にさらされているとの認識を示した。

「中国は東南アジアへの輸出を増やし、東南アジアは米国への輸出を増やしている。さらに中国は欧州や他の世界諸国への輸出も増やしており、世界にとって非常に大きな再編だ」と述べた。

同時に、約3億5000万人の人口を抱えるユーロ圏市場には、域内の障壁を取り除くことができれば、成長の機会は十分にあると強調。「米国から得られる教訓は、真の単一市場を持つことだ」とした。

単一市場の規模を確保するため、欧州連合(EU)加盟27カ国による困難な改革が必要になると認めつつも、「欧州が域内の内需を拡大する方法を考えるのは理にかなっている。それは財政政策と改革の双方を伴う」とし、そうなれば「欧州への投資や欧州における技術革新のインセンティブが高まる」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 トランプ

ビジネス

英政府予算案、大手機関投資家は歓迎の声と警戒感が交

ワールド

ギニアビサウで軍幹部が権力掌握と発表、クーデターか

ワールド

香港高層住宅群で大規模火災、44人死亡 過失致死容
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中