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英政府予算案、大手機関投資家は歓迎の声と警戒感が交錯

2025年11月27日(木)07時52分

リーブス英財務相。9月29日、英リバプールで撮影。REUTERS/Phil Noble/File Photo

Yoruk Bahceli Dhara Ranasinghe Nell Mackenzie

[ロンドン 26日 ロイター] - リーブス英財務相が26日発表した政府予算案について、大手機関投資家からは歓迎する声と警戒感が入り交じった反応が見られた。

評価されたのは、一連の増税措置を通じて財政規律を守りながら政府が使える余裕資金、いわゆる「財政余力」が市場の想定以上に高まった点だ。

バンガードの国際金利責任者を務めるアレス・クートニー氏はロイターに、予算案でイングランド銀行(英中央銀行)が利下げを継続できるようになると指摘し、決して全面的に明るい内容ではないが、縮小していた英国債ポジションを再び積み増したと明かした。

アリアンツ・グローバル・インベスターズも英国債の強気姿勢を維持した。

しかしフランクリン・テンプルトン、ノーザン・トラスト・アセット・マネジメント、ブルーベイ・アセット・マネジメント、フィデリティ・インターナショナルの運用担当者はいずれも英国債に対する慎重姿勢を変えていない。

確かに財政余力は高まったものの、短期的には歳出拡大が計画されながら、総額260億ポンドの増税は大半の実施時期が後回しになっているからだ。

今後英国の経済成長が振るわず、税収が想定を下回る一方で歳出が膨らめば、せっかくの財政余力が再び低下する恐れがあるという。

ノーザン・トラスト・アセット・マネジメントの国際債券責任者ダン・ファレル氏は、このような増税計画では予算案が信頼に足るかどうかしばらくは不透明になると述べ、英国債よりもイタリアやスペインの国債への投資が好ましいとしている。

フランクリン・テンプルトンの欧州債券責任者デービッド・ザーン氏は、リーブス氏が来年再増税に追い込まれると予想。「リーブス氏はチャンスを逃し、課題を先送りする道を選んだに過ぎない」と突き放した。

26日に英長期国債利回りが1日として9月以来の急低下になったが、投資家は予算案を好感したというよりも、幾つかの国債売り出しが中止になったという供給要因が大きく影響したとの見方を示した。

RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング債券最高投資責任者は、英国債の利回りが一段と低下する局面があれば、売り持ちポジション構築の機会とみなすだろうと述べた。

ロイター
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