ニュース速報
ビジネス

米経済「「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向性期待=リッチモンド連銀総裁

2025年11月19日(水)04時01分

米ワシントンのエコノミック・クラブ・オブ・ワシントンDCでの討議に参加したリッチモンド地区連銀のバーキン総裁。4月9日撮影。REUTERS/Kevin Mohatt

Howard Schneider

[ウィンチェスター(米バージニア州) 18日 ロイター] - 米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は18日、米連邦準備理事会(FRB)の政策立案に当たり、今後発表される経済指標と地域経済関連の聞き取り調査が方向性を明確にすることを期待すると述べた。

バーキン氏は、バージニア州シェナンドー大学で開催された経済サミットでの講演予定原稿で、入手可能なデータと地域住民への聞き取り調査から、経済は「対応が困難な」均衡状態にあることが示されたと指摘。インフレ率はFRBの目標である2%を上回っているものの、明確な方向性が見られないほか、失業率は上昇する可能性が高いものの、大幅な上昇には至らないとの見方が背景にあるとした。

また、雇用市場の支援に向けて利下げに動くべきか、インフレ再燃を防ぐために金利を据え置くべきかでFRB内で見解の相違がみられる中、「その両方のシナリオを想像するのは簡単だ」とし、明確な政策変更を正当化するほどの緊急性はないとの見方を示唆。

その上で「全体として、インフレ率は目標を上回り、雇用は伸び悩んでおり、FRBの責務の両面に圧力がかかっている。しかし、消費者が値上げに抵抗し、労働力の減少が失業率を安定させていることなど、両面に緩和要因も見られる」とした。

しかし、公式データが不足しているため、FRBの立場を明確にするのは困難だとも指摘。例えば、クレジットカードのデータや企業収益は経済成長が依然として健全であることを示唆しているものの、一部のセクターや世帯が苦戦していることも明らかだとした。また、雇用市場は全体として均衡しているように見えるものの、より詳細な状況を検証すると、必ずしもそうではないようだとした。

アマゾン・ドット・コムやベライゾン などの大手企業が最近レイオフを発表したことは更なる警戒が必要だとも述べた。

このほかバーキン氏は、現在の住宅価格の高騰は、2007─09年の金融危機に起因する供給不足を反映している可能性があると指摘。その上で、住宅ローン金利の低下は住宅需要を刺激するものの、足元の住宅価格の高騰の主な要因となっている根本的な供給問題には対処しないとの考えを示し、「住宅ローン金利が下がれば、住宅購入希望者が増え、即座に住宅がなくなる」とし、住宅価格を下げるには、住宅供給を増やす必要があるとの考えを示した。

バーキン氏は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。次回12月9─10日に行われる会合で追加利下げを支持するかどうかは明言しなかった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米経済「「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向性

ビジネス

再送MSとエヌビディアが戦略提携、アンソロピックに

ワールド

サウジ、6000億ドルの対米投資に合意 1兆ドルに

ビジネス

米中小企業、26年業績改善に楽観的 74%が増収見
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中