ガスプロム、中国格付け会社がAAA付与 元建て社債発行へ道
[上海 8日 ロイター] - 中国の格付け会社である中証鵬元は8日、米国の制裁対象となっているロシアのエネルギー大手ガスプロムに対し、最上位の格付けである「AAA」を付与した。これにより、ガスプロムが中国国内の債券市場で社債を発行する道が開かれた。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ムーディーズやフィッチ、S&Pグローバル・レーティングといった欧米の格付け会社は、ガスプロムを含む多くのロシア企業に対する格付けを取り下げている。
制裁により欧米の資金調達から締め出されたロシア企業にとって、世界2位の規模を持つ中国の債券市場にアクセスできれば大きなメリットになる。
ガスプロムのファミル・サディゴフ副最高経営責任者(CEO)は声明で「独立した外国の格付け会社による高い格付けは、ガスプロムの財務の安定性を裏付けるものであり、当社の高い信用力を示している」と述べた。
関係者によると、今回の長期発行体格付けは、必ずしも直ちに元建て社債の発行につながるものではないが、将来的な元建て社債発行に道を開く。ただ、元建て社債の発行には中国当局の承認が必要で、当局は地政学的リスクを考慮するとみられる。
格付け見通しは「安定的」。ロシアと中国は巨大な天然ガスパイプライン「シベリアの力2」プロジェクトで合意したばかり。
中証鵬元は「ガスプロムの格付けは、同社の戦略的重要性やロシア政府との法的なつながりを反映している」と説明。同社の信用力は「世界の石油・ガス産業の市場リーダーとしての強固な事業基盤と、ロシアのエネルギー市場での重要な地位に支えられている」と述べた。