ニュース速報
ビジネス

インド中銀、金融緩和終了の可能性も=アナリスト

2025年08月07日(木)09時51分

8月6日、インド準備銀行(RBI、中央銀行)のインフレ率と経済成長の予想を踏まえてアナリスト6人が、RBIは金融緩和局面を終えて利下げが打ち止めになった可能性があるとの見方を示した。ムンバイの同銀前で2010年11月撮影(2025年 ロイター/Danish Siddiqui)

Dharamraj Dhutia

[ムンバイ 6日 ロイター] - インド準備銀行(RBI、中央銀行)のインフレ率と経済成長の予想を踏まえてアナリスト6人が6日、RBIは金融緩和局面を終えて利下げが打ち止めになった可能性があるとの見方を示した。RBIはこの日、主要政策金利のレポレートを5.50%に据え置くことを決めた。

ロイターのアナリスト調査では今回の局面であと1回の25ベーシスポイント(bp)の利下げがあると予想されていたが、アナリストの一部は見方を変えている。

米シティグループのチーフエコノミスト、サミラン・チャクラボルティ氏は「8月の会合での金融政策の性格と経済成長とインフレの予想を考慮すると、直ちに利下げする余地はほとんどない」と指摘。シティは以前にはRBIが8月に25bp下げてレポレートを5.25%にすると予想していたが、現在は今回の利下げ局面では5.50%に据え置かれると見込んでいる。

RBIは2026年1―3月期のインフレ率が前年同期比4.4%になるとの予想を据え置き、26年4―6月期には4.9%に拡大すると予測している。

インドの6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.1%上昇と6年超ぶりの低い伸び率になり、今月12日発表される7月のCPIは記録的な低水準になると予想されている。

ただ、RBIのマルホトラ総裁は、CPIの急激な鈍化は変動の激しい食品価格によるもので、年末にかけて拡大する可能性が高いとの見方を示した。

DBS銀行のシニアエコノミスト、ラディカ・ラオ氏は「1年後を見据え、26年4―6月期のインフレ率予測の4.9%とレポレートの5.50%を考慮すると、実質金利のバッファーは大幅に縮小する。レポレートの到達金利は年内に5.50%で据え置かれる公算が大きい」と指摘した。

キャピタル・エコノミクス、バローダ銀行、コタック・セキュリティーズ、エーデルワイス・ミューチュアル・ファンドのアナリストらも、RBIが金融緩和局面を終えた可能性があると指摘した。

キャピタル・エコノミクスの新興市場担当副チーフエコノミスト、シラン・シャー氏は「本日の政策発表には、緩和局面が終了したとの見方を変更する要素はほとんどない」と語った。 

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

半導体への関税率、EUに「劣後しないこと」を今回の

ワールド

米政権、ハーバード大の特許権没収も 義務違反と主張

ビジネス

中国CPI、7月は前年比横ばい PPI予想より大幅

ワールド

米ロ首脳、15日にアラスカで会談 ウクライナ戦争終
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 2
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何か?...「うつ病」との関係から予防策まで
  • 3
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トップ5に入っている国はどこ?
  • 4
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 5
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 9
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 10
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 9
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中