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アングル:米関税が幅広い企業により大きな打撃、第2四半期決算で鮮明

2025年08月06日(水)09時33分

 8月5日、トランプ米大統領が打ち出した関税措置が、米企業の幅広い業種により大きな痛みを与えていることが第2・四半期決算発表で明らかになっている。ロサンゼルス港で5月撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)

Arpan Varghese Shashwat Chauhan

[5日 ロイター] - トランプ米大統領が打ち出した関税措置が、米企業の幅広い業種により大きな痛みを与えていることが第2・四半期決算発表で明らかになっている。5日には建設機械大手キャタピラーやホテルチェーン運営のマリオット・インターナショナルなどが需要の弱さや支払価格の上昇に言及した。

ロイターのグローバル関税トラッカーに基づくと、これまでに第2・四半期決算を発表したグローバル企業が2025年通期で関税が収益に及ぼすと想定している打撃は約150億ドル相当に達する。

そうした痛手の大半を被るのは工業、自動車といった業種で、金融やハイテクは比較的影響が軽微だ。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフ市場アナリスト、スティーブ・ソスニック氏は「(関税の打撃は)ほんの序章に過ぎないと思う。特に中国やカナダ、インドなどの主要貿易相手との交渉がなお定まってない以上、まだ始まりの段階だ」と述べた。

5日の決算発表でも、原料輸入コストの上昇から消費者信頼感低下に伴う需要の落ち込みまで、トランプ政権の通商政策がさまざまなルートで企業に影響を及ぼしている様子が浮き彫りになっている。

例えばキャタピラーは売上高が0.7%押し下げられ、輸入品価格が6.5%上がったと説明。ジョー・クリード最高経営責任者(CEO)は関税によって「下半期に収益への逆風が一段と強まる公算が大きい」と警告した。

ビール製造のモルソン・クアーズは関税に起因する輸入アルミニウム価格上昇が原因で、下半期に2000万─3500万ドルのコストが発生するとの見通しを示した。

マリオットは旅行需要鈍化を背景に25年通期の業績見通しを引き下げ、穀物商社アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の利益は5年ぶりの低水準に沈んだ。

メキシコ料理ファストフードのタコベルの親会社ヤム・ブランズは、原材料コストが跳ね上がって利益が圧迫された。

ただ株式市場は今のところ底堅く推移している。LSEGのデータによると、これまでに決算発表を終えたS&P総合500種企業370社の80.3%は利益がアナリスト予想を上回っており、第2・四半期の増益率は11.9%と見込まれている。

ロイター
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