インド株に海外勢回帰、5月ブロック取引55億ドル 割高感薄れる

インド株式市場からしばらく引き揚げていた海外投資家が回帰しつつある。写真は、ムンバイの国立証券取引所(NSE)のブース。2024年8月、ムンバイで撮影(2025年 ロイター/Francis Mascarenhas)
Scott Murdoch Ankur Banerjee
[シドニー/シンガポール 2日 ロイター] - インド株式市場からしばらく引き揚げていた海外投資家が回帰しつつある。相対で大量の株式を売買するブロック取引が5月は約1年ぶりの高水準となり、市場復活期待が高まっている。
5月のブロック取引は総額55億ドルで、4月の2億2000万ドルから大幅に増加。銀行関係者によると、海外投資家の買いが旺盛だったという。
インド株は昨年9月に最高値を繰り返し更新した。翌10月から今年3月にかけて海外投資資金は290億ドル近く流出した。
JPモルガンのインド株式資本市場部門の責任者であるアビナフ・バーティ氏は、割高感などを理由にインド市場から撤退し、約半年間、動きがなかった多様な投資家から関心が示されたと述べた。
背景には、インド株式市場の好調がある。代表的な株価指数のNSE50指数は、トランプ米大統領が相互関税を発表した4月上旬以降、6%上昇している。相互関税率が予想よりも低いと受け止められ、安全な投資先と評価された。4月と5月に合計約30億ドルの海外資金が流入した。
LSEGのデータによると、5月の55億ドルのブロック取引には、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコによるITC株式15億1000万ドル相当の売却、インド格安航空インディゴの共同設立者による保有株5.7%の売却、シンガポールの通信大手シングテルによるバーティ・エアテル株式15億ドル相当の売却などがある。ITC株とインディゴ株の売却は、投資家の引き合いが強く規模を拡大したという。
ゴールドマン・サックス・インドのマネジングディレクター、スニル・カイタン氏は、「質の高いグローバルなロングオンリーの顧客が、確信を持って参入している」と話す。「一部は依然、水準が正常化するのを待っているが、市場に戻ってきた海外流動性の90─95%はインドに深く根差している投資家、つまり市場を理解し、再参入のタイミングを待っていた投資家たちだ」という。
シティグループのインドECM部門責任者アルビンド・バシスタ氏は、インド経済の改善、減税、金利引き下げが、インド株式市場に対するセンチメント改善に寄与していると述べた。
「経済は好調で、バリュエーションはより合理的になり、健全な市場活動を促している。投資家たちは、(株式の)売り手がいればぜひ買いたいと言っている」と語った。