トランプ政権の外国人投資家課税強化策、米国債需要に影響か

米連邦議会下院が22日可決した、包括的な税制・歳出法案には外国人投資家への課税を強化する政策が盛り込まれており、米金融業界では法案が成立すれば米国債やドルの需要を冷え込ませるのではないかと懸念する声が出ている。写真はウォール街の標識。ニューヨーク証券取引所付近で2018年4月撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)
[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米連邦議会下院が22日可決した、包括的な税制・歳出法案には外国人投資家への課税を強化する政策が盛り込まれており、米金融業界では法案が成立すれば米国債やドルの需要を冷え込ませるのではないかと懸念する声が出ている。
トランプ大統領が成立を求めている同法案には、米国が不公平と見なす税を課している国・地域の個人・企業に対して課税する第899という項目がある。この項目は外国人投資家について、配当やロイヤルティー収入などパッシブインカム(受動的な収入)に最大20%の累進税率で課税するとの提案を含んでいる。
議会予算局(CBO)の試算によると、この法案が上院でも可決されて成立した場合、外国人投資家への課税強化で向こう10年間に1160億ドルの税収が見込まれている。
ドイツ銀行の外為調査ヘッド、ジョージ・サラベロス氏は29日のノートで「この法案は、米政府が望めば貿易戦争を資本戦争に転換する余地を作るものだとわれわれは見ている」と書き、新たな課税は米国債の需要にとってマイナスの影響を与えるだろうと付け加えた。
折しも、米国の財政赤字拡大や新たな通商政策によって市場では「米国例外主義」に懐疑的な見方が広がり始めている。
モルガン・スタンレーはノートで、新たな課税制度によってドルが下落し、米資産に対する外国からの引き合いが弱まると予想した。