ニュース速報
ビジネス

ドイツ、グーグルやフェイスブックなどへ収益の10%課税を検討

2025年05月30日(金)11時41分

 ドイツのヴァイマー文化相は29日発行された雑誌「シュテルン」のインタビューで、米巨大IT企業のアルファベット傘下のグーグルや、メタが抱えるフェイスブックなどの大規模オンラインプラットフォームの収益に10%の課税を検討していることを明らかにした。写真はグーグルのロゴ。米カリフォルニア州マウンテンビューにある同社の研究施設で13日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)

[ベルリン 29日 ロイター] - ドイツのヴァイマー文化相は29日発行された雑誌「シュテルン」のインタビューで、米巨大IT企業のアルファベット傘下のグーグルや、メタが抱えるフェイスブックなどの大規模オンラインプラットフォームの収益に10%の課税を検討していることを明らかにした。

ドイツのメルツ首相は近く、トランプ米大統領と会談するために首都ワシントンを訪問する予定だ。トランプ氏はかつて、外国政府が「米国の適切な課税基盤を自国の利益のために流用する」ことを許さないと発言している。

自国内でのデジタルサービス事業者の収益への課税は英国やフランス、イタリア、スペイン、トルコ、インド、オーストリア、カナダなどが既に実施しており、トランプ氏は2月に米巨大IT企業にデジタルサービス税を課している国々への輸入関税適用を目的として調査するようグリア米通商代表に命じていた。

ヴァイマー氏は、政府関係者が大規模オンラインプラットフォームの収益に10%の関税を課す法案を起草していると説明。一方で、自身が「ずる賢い脱税」と非難したプラットフォーム事業者とも話し合いを持ち、自発的に寄付してもらうような代替案も模索していると説明した。

その上で「これらの(巨大IT)企業はドイツで数十億(ドル規模)の事業を手がけ、極めて高い利益率を誇り、ドイツのメディアや文化的な成果、インフラによって巨大な恩恵を得ている。しかし、彼らはほとんど税金を納めず、投資も小さ過ぎ、社会への還元もあまりにも少な過ぎる」と批判した。

ヴァイマー氏は、大規模デジタルプラットフォームが「独占的な構造」を構築し、競争を制限するだけではなくメディアの力を過度に集中させ、表現の自由にリスクをもたらしていると非難した。

さらに、「トランプ氏から圧力を受けたグーグルが一方的にメキシコ湾をアメリカ湾に改名し、グローバルコミュニケーションでの意味を形成する巨大な力をもってそうするように単純に命じるのであれば、現在の構造の中に潜んでいる問題の数々を見て取ることができる」との見解を示した。

アルファベットとメタは、ロイターのコメント要請にそれぞれ直ちには応じなかった。

ドイツの連立与党は今年早期にデジタルサービス課税の導入を検討することで合意したものの、これは連立政権が優先するプロジェクトの一覧には入っていなかった。関係者によると、ヴァイマー氏が表明した課税案について連立政権はまだ合意していない。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼・アルミ関税50%に引き上げ表明 

ワールド

日鉄は「素晴らしいパートナー」とトランプ氏、買収承

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 2
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 6
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 7
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 8
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 9
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 10
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中